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『[エッセンシャル版]マイケル・ポーターの競争戦略』(ジョアン・マグレッタ著・櫻井祐子訳/早川書房)という本で、競争戦略を学び直しています。
私自身、競争そのものを誤解していました。
<正しい競争戦略とは?>でも書きましたが、ナンバーワンを目指すのではなく、オンリーワンを目指すのが競争の本質なんですね。
競合他社を打ち負かすことではなく、価値創造にあると。
なるほど、と思いました。
孫氏の兵法でも語られてます。
戦わずして勝つ。
それには、独自の価値を生み出せるかどうか。
独自性を目指し、利益を上げる
飲食店においては、料理もサービスも雰囲気も、独自性があるかどうかが大事なのです。
正しい競争とは、独自性を目指す競争であり、求めるところはいたずらに売り上げをあげたり、シェアを奪うことではなく、シンプルに利益を上げること。
それに尽きる。
ただ、その利益は、業界によって、前後します。
ポーター氏はそうした中で、業界の収益性を決定づける<5つの競争要因>というフレームワークを説いてくれました。
これが結構難しいのですが、理解を深めていきたいと思います。
5つの競争要因
利益をめぐる競争には、5つの要因があります。
- 既存企業同士の競争
- サプライヤー(仕入れ)の交渉力
- 買い手(顧客)の交渉力
- 代替品や代替サービスの脅威
- 新規参入者の脅威
このフレームワークから分かることは、業界の収益性です。
どれだけの収益が取れるかということが、選択した業界によって、ある程度決まっているという事実なんです。
いま、業界で何が起きているのか?
業界の現状を知る最も有効な手立てとして、5つの競争要因は活用できます。
まずは、それぞれの競争要因をまとめてみますね。
既存企業同士の競争
既存企業同士の競争は激しければ激しいほど、収益性は低下します。
値下げ競争に陥りがちになるだけでなく、宣伝合戦、新製品の投入、サービスの充実など、コストがかさんで価値が散逸する。
値下げするということは、言い換えると、業界の生み出した価値を買い手に流してしまうことです。
サプライヤーの交渉力
サプライヤー(仕入れ業者)の立場からすれば、できるだけ高く販売したいと考えます。
メーカーであれば、一生懸命作った製品を安く売ることは、自分たちの価値を下げてしまう。
強力なサプライヤーは高い価格を請求したり、有利な条件を要求したりすることで、業界の収益性を下げる。
買い手の交渉力
買い手(個客)としては当然、安くで買いたいと思うのが人情です。
強力な買い手は、値下げ圧力をかけたり、製品・サービスの向上を求めたりすることで、価値の取り分を増やそうとする。
代替品や代替サービスの脅威
業界の製品と同じニーズを異なる方法で満たす製品・サービスが現れることも多々あります。
飲食店にとってのコンビニがそれです。
こうした代替品や代替サービスは、業界の収益性に上限をつくる。
新規参入者の脅威
マーケットに新たに入り込んでくる新規参入者は、新たな生産能力や価値をもたらそうとシェアを奪いに来ます。
そのため、参入障壁が高くない場合、価格に上限をつくらせてしまう。
また、顧客をつなぎとめるために、コストをかけることも求められる。
飲食業界を事例として、5つの競争要因で分析する
飲食業界を上記を参考に分析してみます。
既存企業同士の競争
飲食店の市場規模は、2017年のデータで14 兆 1,581 億円。
それに対し、国内の飲食店は67万店。
ということは、1店舗あたり2,113万の年間売上です。
こう考えると、年収1千万を稼ごうと思っても難しいですね。
サプライヤー(仕入れ)の交渉力
デフレで食材も底値まで落ちました。
しかし今は、徐々に上がり始めています。
これは冷静に考えると、本来の価値を取り戻しつつあると思いますが、低価格で仕入れて原価設定している飲食店には頭の痛い問題。
今後は資源不足などでますます上り傾向でしょう。
買い手(顧客)の交渉力
飲食店の過度な値下げ競争は未だ、収束していません。
飲食店の仕事は複雑多岐にわたり、たいへんな仕事にも関わらず、平均賃金は低いと言われます。
顧客にとっても安くて当たり前、一定のサービスも当たり前と考えています。
価格を上げるととたんにお客さんが入らない、この無言の圧力は相当なものがあるように思います。
代替品や代替サービスの脅威
飲食店の外食産業に対して、中食産業が数年前からブームになっています。
飲酒運転や労働環境、高齢社会化など外部要因を考えるとますます、飲食店の立場は危ぶまれてきます。
コンビニも脅威となって久しい。
新規参入者の脅威
飲食店というのは、開業しやすく、独立しやすい業態です。
しかし、持続するのはとても難しい。
3年内に半分が閉店するという事実を知って、新規参入するかどうか。
これまでは安易に出店しても、今後は慎重になるのではないかと予測してますが、新規参入しやすいという点では常にリスクです。
結論
ざっくり、分析してみましたが、飲食業界は極めて厳しい競争環境であることが分かります。
儲からない。
ただ、ポーター氏は、こうした競争にさらされる中で、どうすれば卓越した業績を実現できるのか、それを説明するのが戦略なんだと説いています。
卓越した業績。
そこを目指さない限り、成功はありませんね。