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「ゼロクリック検索が68%になった」という話を、どこかで目にした方は多いと思います。
検索したのに、どのサイトも開かずに終わる。それが3回に2回になった、という話です。
僕もこの数字を発信で使ってきました。ただ、あるとき気になって、元の調査を一つずつ開いて確かめてみたんです。
そうしたら、同じ「ゼロクリック率」で4つの数字が出てきました。68%、64.8%、46.96%、23.9%。全部まじめな調査です。
この記事では、なぜこんなに数字が違うのか、日本ではどうなっているのか、そして経営者が本当に見るべき数字はどれなのかを書きます。
AI検索への対応を15社ぶん実際に手を動かしてきた立場から、現場で見ている景色も合わせてお伝えします。
「ゼロクリック68%」は、どこの何の数字なのか


同じ言葉で、4つの数字が出てきた
まず、いま出回っている数字を並べてみます。
68.01%は SparkToro が2026年6月に発表した米国の数字で、Similarweb のデータから2026年1月〜4月を見ています。
46.96%は iPullRank が2026年7月に発表したもので、131億件の検索を2024年10月から2025年12月まで追いました。
64.8%と23.9%は、どちらも日本の数字です。これは後ほど詳しく書きます。
同じ「ゼロクリック率」という名前なのに、いちばん高い数字といちばん低い数字で3倍近く違います。
差の正体は「検索し直した人を数えるかどうか」
調べていくと、理由がはっきりしました。
お店の来客数を数えるときに似ています。ドアを開けて入ってきた人を数えるのか、レジを通った人を数えるのか。同じお店なのに、数え方を変えれば数字は変わります。どちらも嘘ではありません。
ゼロクリックで最大の差になっていたのが、別のキーワードで検索し直した人を、ゼロクリックに数えるかどうかでした。
68%を出した SparkToro は、検索し直した人もゼロクリックに入れています。同社の記事によれば、その割合はおよそ22%。
そこを引くと46%。iPullRank の46.96%と、ほとんど同じ数字になります。
68.01%と46.96%。同じ「ゼロクリック率」という名前でも、21ポイント違います。
Semrush が2022年に出した25.6%という数字はもっと低いのですが、こちらは検索を絞り込んだ人を、そもそもゼロクリックから外していました。
4つめの23.9%は、数える単位そのものが違います。博報堂DY ONE の次世代検索研究所が2026年3月に出した「AI検索白書2026」の数字で、検索1回ごとではなく、調査に答えた人ごとに数えています。だから小さく出ます。
セッションで数えた数字と、人で数えた数字を並べて比べてはいけない、ということです。
日本のゼロクリック率は64.8%。米国とほぼ同じだった
250万人のブラウザの記録で測られている
「ゼロクリックはアメリカの話でしょう」と言われることがあります。僕もそう思っていました。
でも、日本にも同じ規模の調査がありました。株式会社ヴァリューズと note の共同調査で、250万人ぶんのブラウザの行動記録を分析しています。
日本のゼロクリック率は、2025年9月で63.5%。2025年12月には64.8%になっていました。
米国の SparkToro が68.01%ですから、ほぼ同じ水準です。日本でも、検索の3回に2回はどのサイトも開かれずに終わっている。これが実測値です。
ただし、スマホのアプリの中の検索は入っていない
ここは正直に書いておきます。
SparkToro は「このデータは Google のスマホ検索アプリを含まない。ブラウザの中でのモバイル検索である」と明記しています。ヴァリューズも「アプリ内検索は除外」としています。
日本はアプリからの検索が多い国なので、この数字が実態の全部ではありません。
ただ、逆に言えば日米が同じ条件で測っているということでもあります。「日本64.8%、米国68%でほぼ同じ」という比較は、それなりに信用できます。
率より痛いのは、1位を取ってもクリックが9%しかないこと


日本の下がり幅は、半年で38%から62.7%へ
ゼロクリック率が何パーセントかを覚えても、明日から何をするかは決まりません。もっと効く数字があります。
Ahrefs が2026年7月に発表した調査です。日本の、調べものに使われる検索語にしぼって、検索1位のクリック率がどうなったかを見ています。
本来なら24.1%取れていたはずが、実測は9.0%でした。
1位を取っても、10人に1人しか来ない計算です。
しかもこの下がり幅、2025年12月の時点では38.0%でした。それが2026年6月には62.7%まで広がっています。半年で24.7ポイントの悪化です。
順位を上げれば流入が戻る、という前提が崩れかけています。
ここは注意して読んでほしいところなのですが、同じ Ahrefs が2026年2月に出した調査では、日本全体の下落は約37.8%(本来なら2.9%取れるはずが実測1.8%)という数字でした。
62.7%と37.8%は、母集団が違います。7月のほうは検索1位・調べもの系にしぼった数字で、2月のほうは30万キーワードの全順位平均です。
同じ会社の同じテーマの調査でも、条件が違えば数字は倍ちかく変わる。混ぜて語ることはできません。
あるサイトで実際に起きたこと
先月、長くお付き合いのあるクライアントさんから相談をもらいました。
検索からの流入が、前の年の半分くらいになっている、と。
アナリティクスを開いて月ごとに前年と並べたところ、1月がマイナス30.8%、3月がマイナス37.9%、6月にいたってはマイナス59.2%でした。
最初に疑ったのは順位です。でも、順位が落ちたページの表示回数はサイト全体のごく一部で、それだけでは全体の減少を説明できませんでした。
そこで、検索されている言葉を全部書き出して3つに分けました。
全国の人が調べものに使う言葉が94.7%。会社名を直接打ち込む指名検索が4.9%。地域名を含む検索が0.4%でした。地域名の検索は、4年半ぶんを全部足して106クリックです。
いま食われているのは、まさに調べもので使われる言葉です。そこに94.7%依存していたサイトが、そのまま直撃されました。
つまり失った流入の大半は、もともと仕事につながっていなかった可能性が高いということです。
「流入が半分になった」の一行だけを見てサイト全体を作り直すのは、この場合まったくの見当違いになります。
それでも、6割の人がまだサイトに来ている検索がある
「おすすめ・比較・レビュー」は62.3%のまま
暗い話ばかりではありません。
同じヴァリューズの調査に、続きがあります。2026年7月に公表されたもので、Google 検索の結果からサイトへ移動する割合を年ごとに見ています。
2025年の全体は41.1%でした。半分以下です。
ところが、家電・自動車・化粧品・旅行・不動産といった分野で「おすすめ」「比較」「レビュー」を掛け合わせた検索だけを取り出すと、62.3%が今もサイトに来ています。
微減はしていますが、依然として高い水準です。
答えがひとつに決まらない質問は、3行にまとめられない
理由を考えると、当たり前のことでした。
Google の検索結果の上に出る「AIによる概要」が3行で答えを出せるのは、答えがひとつに決まる質問だからです。
「シロアリ駆除の相場は」なら答えられます。でも「どこに頼むのがいいか」は、会社によって値段も保証も対応エリアも違うので、ひとつに決まりません。だから人は自分で見に行きます。
ということは、記事のテーマの寄せ方が変わります。
「〇〇とは」から、「〇〇の選び方」「〇〇と△△の違い」「〇〇の費用の相場と内訳」へ。それだけで、届く相手が変わります。
クリックの86%は「知らなかった相手」に向かっている
もうひとつ、iPullRank の調査に希望のある数字がありました。
実際にクリックが起きたとき、その86%は「検索した人が名前で指名していなかった行き先」でした。
名前を打ち込んで開かれたのは、14%だけです。
つまりクリックの大半は「知らない会社との出会い」に使われている、ということです。
これは小さい会社にとっては、むしろ良い話です。
大手の指名検索と正面から戦う必要はありません。名前を知られていなくても、出会わされる側に入れる枠が、まだ8割以上あるということですから。
AIに読まれている記事には、共通点が2つしかなかった
深く書く(平均およそ6,000字)
ヴァリューズと note の共同調査で、AI経由の流入が多い記事の特徴が2つに絞られていました。
ひとつめが、書き手の経験や専門性に裏打ちされた深掘りの記事であること。平均文字数は約6,000字でした。
僕がクライアントさんによく言うのは、構成やテクニックより先に一次情報だ、ということです。自分が実際にやったこと、お客さんから実際に言われたこと、現場で見た数字。これはAIには書けません。
逆に、どこかで読んだような一般論を並べた記事は、AIが3行にまとめられます。まとめられたら、もう読みに来てもらえません。
構造を整える(目次48%・見出し89%)
ふたつめが、構造が明確であることです。
同じ調査で、目次を使っている記事が48%、見出しをきちんと使っている記事が89%でした。
深く書く。そして、機械が読みやすい形に整える。技術的に難しいことは、何も含まれていません。
その数字、そもそもちゃんと数えられていますか
専門サービスは、問い合わせの半分以上が電話だった
ここまで外の数字の話をしてきましたが、最後に自分の数字の話をします。
Ruler Analytics が1億1千万セッション超を分析した調査に、問い合わせがフォームと電話のどちらで来たかの内訳が出ています。
士業やコンサルのような専門サービスは、問い合わせの52.6%が電話でした。法律関係だと56.3%、医療・福祉でも37.2%が電話です。
一方、美容は92.2%がフォームで、電話は7.8%しかありません。業種によってまったく違います。
ということは、フォームしか数えていないサイトは、業種によっては自分の成果を半分以下に見誤っていることになります。
「ホームページを作ったけど問い合わせが増えていない」と感じているなら、まず電話が数えられているかを確認してください。増えていないのではなく、数えていないだけかもしれません。
まとめ|覚えるのは率ではなく、自分のサイトの内訳
今日の内容を3点にまとめます。
- ゼロクリック率は調査ごとに3倍違う。差は「検索し直した人を数えるか」と「セッションで数えるか人で数えるか」。日本は64.8%で、米国とほぼ同じ水準
- 率より効くのは「日本の検索1位で、本来24.1%取れるはずが実測9.0%」。順位を上げれば流入が戻るという前提は崩れかけている
- それでも「おすすめ・比較・レビュー」を含む検索は62.3%が今もサイトに来る。記事のテーマをそちらへ寄せる
そして、いちばんお伝えしたいのはここです。
世の中の平均が何パーセントかは、覚えなくていいです。調査によって3倍違うので、覚えても使えません。
見るべきなのは、自分のサイトの内訳のほうです。
Search Console を開いて、直近16か月の検索キーワードを全部出す。それを「調べもの」「指名」「地域名」の3つに分けて数える。エクセルに貼って目で分けるだけで、1時間もかかりません。
ここで調べものの言葉が9割を超えていたら、そのサイトはこれから食われます。
調べものの検索が減っても、比べるための検索と地域の検索を取っていれば、仕事は増えます。
滋賀県草津市の増井・阪口税理士事務所さんは、新規の問い合わせが年に2〜3件あるかないかという状態から、月3〜4件に変わりました。阪口さんご本人いわく、問い合わせは10倍以上。制作費の4〜5倍が売上として上がっています。
流入の総量ではなく、どの言葉で来ているか。そこを見た結果です。
自分のサイトが今どういう状態なのかは、診断ツールで測れます。URLを入れるだけで、AI検索への対応を含む8つの軸を100点満点で採点して、優先度付きの改善リストまで出します。
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出典
- SparkToro「In 2026, Less than One Third of Google Searches Still Send a Click」ランド・フィッシュキンさん(2026年6月9日)
- iPullRank「What 13 Billion Google Searches Reveal About Zero-Click Behavior」ケイト・ドンブロウスキーさん(2026年7月30日)
- ヴァリューズ × note 共同調査(マナミナ 2025年10月30日/note pro公式 2026年3月18日)
- ヴァリューズ「AI Overviewsで『ゼロクリック化』進む? Google検索流入は41%まで減少」(Web担当者Forum 2026年7月2日)
- Ahrefs「AIによる概要のゼロクリック影響、日本でも約38%のオーガニッククリック減少を確認」(2026年2月26日)
- Ahrefs「AI Overviewsでクリック率が62.7%減! Google検索1位でもCTRはわずか9%」(Web担当者Forum 2026年7月29日)
- Semrush「Google search study: 25.6% of desktop, 17.3% of mobile are zero-click」(Search Engine Land 2022年)
- 博報堂DY ONE 次世代検索研究所「AI検索白書2026」(2026年3月2日)
- Ruler Analytics「Conversion Rate Benchmarks 2026」(2026年5月26日)

