※この記事にはプロモーションが含まれています
たった一人の顧客分析から売れる仕組みを組み立てていく『顧客起点マーケティング』では、5つのセグメントに顧客を分けるところから始まりましたが、より洗練させるためにはもう少し詳細な分析が必要になってきます。
▼動画で概要を約90秒で解説しています▼
ロイヤル顧客はなぜ、ロイヤル顧客なのか?
たとえば、あるレストランの常連さんの中には、真のロイヤル顧客と呼べない方も混じっている場合があります。
そのお店が好きだから、という理由ではなく、単純に家が近かったり、他に行く店がないから仕方なくだったり。
そうしたお客さんに、レストランを選択する強い動機があるわけではない。
ロイヤル顧客としてひとくくりにしてしまうと、異なる心理的要因を一緒くたにしてしまうことになり、お店がなぜ支持されているのか、わかりにくくなります。
極端な話、もし、そのレストランの近くに、新しいレストランができたら、一気に顧客を失う恐れがあります。
ロイヤルティ
そのために、5つの顧客セグメントから、ロイヤルティという基準を加える必要が出てきます。
ロイヤルティとは簡単にいうと、そのお店への愛着です。
他のお店の選択肢があっても「やっぱりここがいい」と選ばれる心理的要因です。
それがあるか、ないかが基準です。
著書の中では、積極的ロイヤルティと、消極的ロイヤルティと分別しています。
顧客の中に積極的ロイヤルティが確立されていれば、それがお店のブランドとなる。
9セグマップの作成
5つのセグメントに分けた顧客ピラミッドを、ロイヤルティのあるなしでさらにセグメント分けします。
ロイヤル顧客の中でも、積極的ロイヤルティか、それとも消極的ロイヤルティなのか。
一般顧客の中ではどうか。
離反顧客のなかではどうか。
認知しているが、購買経験のない顧客の中ではどうか。
未認知の顧客に対しては、ロイヤルティのあるなしは判断できませんから、そこは分けずにセグメント分けすると上記のように9つに区別できます。
これが9セグマップ。
販売促進とブランディング
このフレームワークで分析する利点は、西口氏の言葉をかりると、
顧客拡大・売上拡大という販売促進的な変化と、顧客のロイヤルティ構築といったブランディング的な変化を同列で可視化・定量化し、統合的なマーケティング議論を可能にします
表の左から右への移行が、顧客拡大・売上拡大で、下から上への移行が、ブランディングの効果です。
特にブランディングの効果を可視化するのは難しく、私も分かったようなわからないような感じでしたが、これでよく分かるようになりました。
マーケットは日々、変化する
この9セグマップで定期的に分析すると、マーケットが分かります。
ただしマーケットは日々、様々な新商品やサービスの提案、新しい訴求が無数に生まれていますから、常に顧客の選択肢は増え、9セグマップも移行しています。
その中で、選ばれ続けるには、プロダクトアイデアを魅力的にするしかありません。
すぐれたプロダクトアイデアとは何かというと、独自性と便益を兼ね備えていること。
他が簡単に真似できず、追い付けず、顧客のニーズに寄り添っていることです。
競争戦略の権威、マイケル・ポーター教授は、組織が競争に勝てるかどうかは、独自の価値が生み出せるかどうかにかかっていると伝えていますが、これが本質なのでしょう。
他社と競争して一番になることではなく、唯一無二の存在になること。
相手を打ち負かすのではなく、価値を創造すること。
9セグマップはそうした価値創造のためにも優れたフレームワークになりえます。
顧客9セグマップでリスクに備える
顧客セグメントを下記のように5つのセグメントをし、さらに各顧客層のロイヤルティのあるなしで、さらに9つに分けた顧客9セグマップ。
たった一人の顧客分析から売れる仕組みを組み立てていく『顧客起点マーケティング』では、5つのセグメントに顧客を分けるところから始まりましたが、より洗練させるた.めには、リスクマネジメントが必要になります。
この9セグマップから忍び寄る危機を察知することができます。
3つの戦略構築
顧客9セグマップを使っての戦略策定は大きく3つ。
まず表の左から右へと移行させる、顧客拡大・売上拡大という販売促進的効果と、下から上へと移行させる顧客のロイヤルティ構築を促進するブランディング効果、そらから両方を同時に行う販売促進&ブランディングです。
『顧客起点マーケティング』(西口一希著)に分かりやすい図があるので、そのまま紹介します。
販売促進
ブランディング
販売促進&ブランディング
リスクに備えよ
9セグマップを定期的にトラッキングすると、リスクを早期に発見できて、防ぐこともできると著者は言います。
要注意なのは、ロイヤルティの低い(自店に愛着のない)顧客の流出です。消極的ロイヤルティを持つ、ロイヤル顧客、一般顧客、離反顧客は、競合に奪われるリスクが高い。
飲食店は競合店の出店情報などが比較的はいってきやすいので、そのリスクに備えやすい業態ですが、飲食店にとっての競合とは何も飲食店だけとは限りません。居酒屋にとっては、コンビニでさえ脅威です。
顧客にとってお店に対する愛着(=ロイヤルティ)がなければ、コンビニの突出した利便性に顧客を奪われる可能性があります。
N1分析で見抜く
具体的にどうしていくかというと、競合の強みと弱みの分析を行い、競合の認知が上がってきたときに何が起こるかを予測します。
それに対して、どのような策を打つか模索するのです。
ここで重要なのが、各セグメントごとのN1分析です。
特に、ロイヤルティの低いロイヤル顧客、一般顧客を手放すと大きな損失になりますから、顧客の心理、行動パターンをよーく理解しておかなくてはいけません。
消極的ロイヤルティの顧客の特徴
消極的ロイヤルティの顧客は、お店のブランド(独自の価値)に対し、愛着をさほど持っていません。
たとえば、新しいお店が近くにできて、競合関係になったとき、自店の消極的ロイヤル顧客は何を考えるか?
消極一般顧客はどのような行動をとるか?
具体的に知っておかなくてはならないのです。
もし消極的ロイヤル顧客の自店に来店する理由が「家の近く」というだけなら、立地条件で簡単に奪われます。
未然に防ぐには、その顧客にとって、自店でなくてはならない価値を創造しなくてはいけません。
たとえば、ポイントカードを発行したり、その顧客だけのサービスを提供したり。
先手を打ちます。
同盟を結ぶ!?
リスクへの備え方はもちろん、無数にあります。
もし競合が自店よりも規模が大きく、集客能力があるのなら、競合店ができないことを全面的に打ち出すのも手です。
競合店では満足できない取りこぼしニーズを狙うのです。
そうすれば、集客コストをかけずに集客できてしまい、かえってラッキーかもしれません。
また、同盟を結ぶというのも考えておきたいところです。
敵対しないように、マーケットの中で住み分けを図り、事前に仲良くなってしまうのです。
そうすれば、地域活性化など、共通の目的の為に共闘できるでしょう。
これらは、著書には書いてませんが、9セグマップやN1分析をしておくことで、対策を慌てずに無数に立てることができます。