ホームページは誰のためにあるのか|会社目線を直す5つの点検

ホームページは誰のため?会社目線を直す

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ホームページは、会社のためのものではありません。

最近は、お店を探すときも、仕事を頼む相手を探すときも、連絡する前にまずホームページを見て決める、という流れがすっかり当たり前になりましたね。

では、そのホームページは何のためにあるのか。僕がこう聞くと、いちばん多く返ってくる答えは「集客のため」です。

半分は合っています。ただ、スモールビジネスがホームページに集客だけを任せると、大手と同じ勝負に巻き込まれて、苦しくなりがちです。

答えから書きます。ホームページは、まだ会ったことのないお客さんのためにあります。その仕事は、人を集めることより、来てくれた人に「ここなら頼めそうだ」と思ってもらい、頼む準備を整えてもらうことです。

僕はこれまで、400件以上のホームページの制作・支援に関わってきました。成果が出たホームページと出なかったホームページを分けていたのは、デザインの良し悪しより、作る前に「誰に向けて書くか」が決まっていたかどうかでした。

この記事では、会社目線になってしまったホームページに出やすい3つのサインと、お客さんのために直す5つの点検を、実際にお手伝いした2社の変化と一緒に紹介します。

目次

ホームページを「集客のため」だけで作ると、大手と同じ勝負になる

人を集める勝負は、お金と人手の多いほうが勝つ

人を集める方法は、いろいろあります。

広告を出す。Googleの検索で上のほうに出るように、記事を書きためる。InstagramやXで毎日発信する。

どれも、お金か人手か時間がかかります。そして大手は、そこにかけられる量がまるで違います。

ランチェスター戦略(小さな会社が大きな会社に勝つための考え方)では、小さな会社が大手と同じ土俵に立つと、数の差でそのまま負ける、と考えます。人を集める量を競う勝負は、まさにその土俵です。

見つけてもらう工夫が要らない、という話ではありません。ただ、小さな会社ほど、ホームページの仕事を「人を集めること」だけにしないほうがいいと僕は考えています。

スモールビジネスのホームページの仕事は、見込み客を育てること

「会社の自慢より、お客さんへの答え」という見出しの図解。左のオレンジの枠は「会社のため」の店の看板で「シェフの経歴と設備」だけが描かれ、右の緑の枠は「お客さんのため」の看板で「料理の写真と値段」が描かれている。下の帯に「来た人に、頼む準備を整えてもらう」。

僕は、勝てるホームページの条件を3つで考えています。

  1. 見つけてもらいやすいこと
  2. ほかと比べられたときに、選ばれること
  3. 一度きりで終わらず、ファンになってもらえること

人を集める話は、このうち1つ目だけです。残りの2つは、もう来てくれた人に対する仕事です。

ここで言う見込み客は、まだ問い合わせてはいないけれど、これからお客さんになるかもしれない人のことです。

その人がホームページを読みながら、「自分の悩みはここで片づきそうだ」「自分の場合は、こう頼めばいいのか」と、少しずつ頼む準備を整えていく。僕が「育てる」と言っているのは、このことです。

そのために書くのは、会社の自慢ではありません。お客さんの悩みや不安、「こうなりたい」という気持ちへの答えです。

レストランの前に出ている、メニューの看板を思い浮かべると分かりやすいと思います。料理の写真と値段を見て、「今日はこれにしよう」と決めてから入ってくるお客さんは、席に着く前から、もう半分注文が決まっています。

ホームページがうまく働いているときも、同じことが起きています。お店や事務所が閉まっている夜でも、何人が同時に見ていても、その説明を引き受けてくれます。

ところが、その看板に書いてあるのが、料理と値段ではなく、シェフの経歴と厨房の設備だけだったらどうでしょう。立ち止まった人は、何が食べられるのか分からないまま、通り過ぎていきます。

会社のためのホームページは、ちょうどこの看板と同じ状態です。

会社目線のホームページに出やすい3つのサイン

「会社目線のホームページの見分け方」という見出しの図解。オレンジの枠が3つ並び、「誰向けか分からない」「会社が言いたい順」「何の会社か伝わらない」と書かれている。下の帯に「誰に何をどう伝えるか、先に決める」。

会社のためのホームページは、作った本人ほど気づきにくいものです。毎日自分の会社を見ていると、初めて見る人がどこで止まるのかが、見えにくくなるからです。

数千のサイトを見てきて、よく出会う形は3つあります。

サイン1|誰に向けて書いているのかが分からない

「どなたでもお気軽にご相談ください」「幅広いニーズにお応えします」。どちらも間違ってはいません。

でも、読んだ人は「これは自分のことだ」とは思えません。

にぎやかな居酒屋でも、自分の名前を呼ばれると、ちゃんと耳に入りますよね。人は、自分に関係のある言葉だけを拾います。ホームページを見に来る人も同じで、頭の中は「自分の悩みが片づくかどうか」でいっぱいです。

全員に向けた言葉は、誰の名前も呼んでいないのと同じです。

サイン2|会社が言いたいことから順番に並んでいる

トップページを開くと、代表のあいさつ、会社の沿革、設備の紹介が続く。お客さんが知りたい「自分の悩みは解決するのか」「いくらかかるのか」は、ずっと下のほうか、別のページの奥にある。

文章を読んでみると、主語はほとんど「当社は」です。

会社の側から見れば、自然な並びです。ただ、お客さんが読みたい順番とは、ほぼ逆になっています。

サイン3|見た目は整っているのに、何をしてくれる会社かが伝わらない

雰囲気のある写真に、詩のようなキャッチコピー。見た目はきれいで、印象にも残ります。

それでも、読み終わったあとに「で、何をしてくれる会社なんだろう」が分からない。詩的でかっこいい言葉は、覚えてはもらえても、問い合わせにはつながりにくいんです。

極論を言えば、戦略があれば、多少デザインに難があっても成果は出せます。逆に、デザインがよくても、戦略が悪ければ、まったく成果は出ません。僕はずっと、こう言い続けています。

ここで言う戦略は、難しい話ではありません。誰に、何を、どう伝えるかを、作る前に決めておくことです。

お客さんのためのホームページに直した2社の実例

滋賀県草津市の増井・阪口税理士事務所さん|年2〜3件の問い合わせが月3〜4件に

滋賀県草津市の増井・阪口税理士事務所さんは、代表の阪口さんのおじいさまが、50年以上前に創業した税理士事務所です。2024年に、阪口さんが引き継ぎました。

リニューアルの前は、阪口さんがご自分でWordPress(ホームページを作るためのソフト)を使って作ったホームページでした。対談で、阪口さんはこう振り返っています。

自分なりに「こういうページがあったらいいかな」と考えて作っていたのですが、ただの名刺になってしまっていたな、というのはあります。

何が言いたいかというと、作る側が「あったらいいかな」と考えて並べたページは、どうしても作る側の目線になる、ということです。名刺なら、事務所の名前と連絡先は分かります。でも、ほかの事務所のホームページと比べたときに「ここに頼みたい」と思わせるものは無かった、と阪口さんご自身が話しています。

新規の問い合わせは、年に2〜3件あるかないか。それがホームページから来たのかどうかも、分からない状態でした。

税理士の仕事は、誰が担当するかで選ばれる仕事です。そこで最初の聞き取りでは、阪口さんに、幼いころから今までを振り返ってもらうところから始めました。阪口さんは、その作業が「誰をお客さんにしたいのか」をあらためて具体的にすることにつながった、と話しています。

僕の聞き取りは、しつこいらしいです。阪口さんにも対談で「最初のヒアリング、結構大変です」と言われました。

リニューアル後は、月に3〜4件、新規の電話が鳴るようになりました。阪口さんいわく、問い合わせは10倍以上。成約したお客さんもいて、ぞろ屋にお支払いいただいた制作費の4〜5倍が、すでに売上として上がっているそうです。

すごいですよね。既存のお客さんからも、「ホームページ変えたよね」と声をかけられるようになったそうです。ご自分で作ったホームページに切り替えたときは、誰も何も言わなかったのに、です。

見た目だけを新しくしていたら、この電話は鳴っていなかったと思います。

滋賀県草津市の税理士事務所、増井・阪口税理士事務所の阪口さんとの対談は、動画でも見られます。

福岡県久留米市の丸よしさん|「いくらですか?」が「こういうケースでも対応できますか?」に

福岡県久留米市の丸よしさんは、布団やベビー用品のレンタルをしている会社です。代表の井ノ口さんも、以前はご自分で作ったホームページを使っていました。

リニューアルでは、丸よしさん自身のキャッチフレーズ「必要な時に、必要な数だけ、電話1本でお届け!」を中心に、ページ全体を組み立てました。必要なとき、必要な数。お客さんの都合から書かれた言葉です。

聞き取りをしながら僕が考えていたのは、便利さだけでなく、「信頼して任せられる安心感」をどう伝えるか、でした。

公開してから最初の1〜2か月は、大きな変化はありませんでした。3か月目くらいから少しずつ問い合わせが増え、公開から9か月ほどで、問い合わせは体感で2〜3倍になっています。

僕がいちばん注目しているのは、問い合わせの中身です。以前は「いくらですか?」と料金だけを聞かれることが多かったのが、「こういうケースでも対応できますか?」と、一歩踏み込んだ相談が増えました。「とりあえず見積をください」という連絡も、「いついつから使いたいのですが借りられますか?」という具体的な問い合わせになっていきました。

料金だけを聞く人は、まだほかと比べている途中です。日にちや自分のケースを聞いてくる人は、ホームページを読んで、もう頼むつもりで連絡してきています。見込み客が育ってから連絡してくる、というのは、こういうことです。

井ノ口さんは、リニューアル後のホームページを、こう表現してくれました。

“作った”ホームページから、”伝わる”ホームページに変わりましたね

福岡県久留米市の布団・ベビー用品レンタル、丸よしの井ノ口さんとの対談は、動画でも見られます。

自分のホームページを、お客さんのために直す5つの点検

ここからは、ご自分のホームページを横に開いて読んでもらえると、そのまま点検に使えます。トップページと、いちばん問い合わせにつなげたいサービスのページ。この2枚だけで十分です。

お客さんのために直す5つの点検
  • 最初の画面で、誰の、どんな困りごとのための会社かが分かるか
  • 写真と言葉が、来てほしいお客さんに合っているか
  • 文章の主語が「当社は」ばかりになっていないか
  • お客さんが聞きにくいことに、先に答えているか
  • お客さんが知りたい順番に並んでいるか

1. 最初の画面で、誰の、どんな困りごとのための会社かが分かるか

トップページを開いて、スクロールせずに見える範囲だけを読みます。そこだけで、初めて見た人が「何の会社で、誰のためのものか」を言えるかどうか。

言葉はシンプルなほうがいい、と僕は思っています。ただ、シンプルにしすぎて「レストランです」「工務店です」だけになると、同じ業種の中に埋もれてしまいます。

たとえばレストランなら「八王子の手打ち生パスタとワインが自慢のレストラン」、工務店なら「平屋のリノベーションが得意な工務店」。何が得意で、誰に向いていて、ほかとどこが違うのかが、一度で分かる言葉です。

2. 写真と言葉が、来てほしいお客さんに合っているか

たとえば、40代の女性に来てほしいエステサロンが、トップに20代のモデルの写真を置いていたとします。見た目はおしゃれです。

でも、近くに「子育てに忙しいママのための若返りサロン」とはっきり書いた店があれば、40代のお客さんが選ぶのは、たぶんそちらです。

写真は、言葉より先に目に入ります。来てほしいお客さんが、写真の中に自分を重ねられるかどうか。言葉と同じように見直してみると、ずれが見つかることがあります。

3. 文章の主語が「当社は」ばかりになっていないか

トップページの文章をコピーして、「当社」「当店」「当院」がいくつ出てくるかを数えます。次に、お客さんが主語になっている文(「〜でお困りの方」「〜したいとき」)を数えます。

前者のほうがずっと多ければ、そのページは、会社の話をしている時間のほうが長い、ということです。

会社が主語の文:当社は創業30年。確かな技術と信頼で、地域の皆さまの住まいを支えてまいりました。

お客さんが主語の文:お風呂場をリフォームしたいけれど、何から相談すればいいのか分からない。そんな方のために、最初の電話でよく聞かれることと、その答えをまとめました。

同じ会社が書いた文です。でも、2つ目のほうが、読んだ人は「自分のことだ」と思えます。

4. お客さんが聞きにくいことに、先に答えているか

料金は、だいたいいくらなのか。どのくらいの期間がかかるのか。

自分のようなケースでも頼めるのか。相談したら、断りにくくならないか。

どれも、お客さんが知りたいのに、電話で聞くのは少し気が引けることです。

お客さんが怖くて聞けないような心の声を察して、先回りして答えておく。ホームページの文章でいちばん大事なのは、ここだと僕は思っています。

答えを置く場所は、よくある質問のページでなくてもかまいません。料金のことは料金のすぐそばに、期間のことは申し込みの流れのすぐそばに。知りたくなったその場所に答えがあると、読む人が迷いません。

5. お客さんが知りたい順番に並んでいるか

お客さんがページを読み進める順番は、おおよそ次のとおりです。

  1. 自分の悩みが、ここで解決しそうか
  2. どうやって解決してくれるのか
  3. なぜ、ほかではなくここなのか(お客様の声や実績)
  4. いくらかかって、どんな流れで進むのか
  5. どうやって問い合わせればいいのか

では、会社の想いや代表のあいさつは要らないのか。要ります。消す必要はありません。

ただ、置く順番があります。お客さんは、自分の悩みが解決しそうだと分かってはじめて、「どんな人がやっているんだろう」と気になります。そのタイミングで読む代表のあいさつは、ちゃんと読まれます。

会社が伝えたいことは、お客さんの疑問に答えたあとに置く。想いを持つことと、それを最初に出すことは、別の話です。

まとめ|ホームページは、お客さんが「自分のための会社だ」と気づく場所

  • スモールビジネスのホームページの仕事は、人を集めることより、来てくれた人に選ばれ、頼む準備を整えてもらうこと(見込み客を育てること)
  • 会社目線のホームページは、「誰に向けたか分からない」「会社の言いたい順に並んでいる」「見た目は整っていても何をしてくれるか伝わらない」の3つで見分けられる
  • 直すときは、最初の画面・写真と言葉・主語・聞きにくいこと・並び順の5つを点検する

滋賀県草津市の増井・阪口税理士事務所さんは、年に2〜3件あるかないかだった新規の問い合わせが、月に3〜4件になりました。福岡県久留米市の丸よしさんは、公開から9か月ほどで問い合わせが体感で2〜3倍になり、料金だけを聞く問い合わせが、自分のケースを相談する問い合わせに変わっています。

今日やることは1つです。トップページの文章をコピーして、「当社」を数えてみてください。

そのうえで、これから1か月、電話やメールで最初に聞かれたことをメモしておく。それが、いまのホームページに書かれていない答えです。

お客さんの側から自分のホームページを読み直すのは、作るより手間がかかります。阪口さんのように、自分のこれまでをさかのぼって振り返る作業が要ることもあります。

それでも、ホームページは、まだ会ったことのないお客さんのためにある。読んだ人の悩みが1つ軽くなって、「ここに頼んでよかった」と思ってもらえたら、ホームページはそれで十分に役目を果たしていると僕は思っています。

5つ目の並び順を考えるときは、お客さんが知ってから頼むまでに、何を考え、どこで迷うのかを、先に書き出しておくと並べやすくなります。その流れを一瞬で図にしてくれる「カスタマージャーニー生成AI」を、無料でお渡ししています。公式LINEに登録して「cj」と送ってください。

出典

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