ホームページも文章も、ロジックよりも好き嫌い|色と言葉を決める4つの手順

「ホームページも文章も 好き嫌い 理屈より先に決まる」と書かれた方眼のサムネイル。右に、大きなスマートフォンを囲む4人のイラスト

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正しい説明だけ並べても、人は動いてくれません。

最近はChatGPTやClaude、Geminiを使えば、筋の通った文章も整ったデザイン案も、数分で作れるようになりました。

理屈の通ったホームページなら、もう誰でも作れる時代です。それでも、問い合わせが来るページと、開いてすぐに閉じられるページに分かれます。

その違いを生んでいるのは、説明の正しさではありません。理屈を読む前に決まっている「好きか、嫌いか」です。

僕はこれまで、400件以上のホームページの制作や支援に関わってきました。その中で、マーケティングを考えるときにもっとも慎重さが求められるのは、この「好かれるかどうか」、つまり親近感をどう表現するかではないかと思っています。

この記事では、なぜ理屈より好き嫌いが先に来るのか、誰に好かれたいかをどう定めて、色や言葉をどう選ぶのかを順にお話しします。後半では、愛媛県宇和島市で魚の養殖と通販をしている株式会社こもこもShopさんの例と、ご自分のホームページの色と言葉を決める4つの手順を紹介しますね。

目次

人は、理屈で比べる前に「好きか嫌いか」を決めている

「理屈より先に、好き嫌い」という見出しの図解で、緑の枠の「色と写真」(絵の入った本の表紙と小さなハート)から、緑の枠の「最初の一言」(本に巻かれた帯と吹き出し)、青の枠の「説明と料金」(開いた本と虫めがね)へ矢印でつながっている。下の帯に「理屈の出番は、好かれたあと」。

表紙と帯で手に取り、目次はそのあとで読む

人は、損か得かだけを計算して生きる、論理的な生き物ではありません。

本屋さんで、平積みになった本の前に立ったときのことを思い出してみてください。まず目に入るのは、表紙の色と絵、それから帯に書かれた一言です。

「なんとなく良さそう」と感じた本にだけ、手が伸びます。目次を開いて、中身が自分の役に立つかどうかを確かめるのは、手に取ったあとです。

表紙を見て「自分向けではないな」と感じた本は、中身がどれだけ良くても、開かれないまま棚に残ります。

ホームページでも、同じ順番で物事が進みます。表紙にあたるのが色や写真などのデザイン、帯の一言にあたるのが最初の画面に置いた言葉、目次や本文にあたるのがサービスの説明や料金です。

初めて見るものを前にしたとき、人はまず「危なくなさそうか」を一瞬で見ます。危なくなければ「面白そうか」、その次に「好きか、嫌いか」。筋道を立てて考えるのは、そのあとです。

つまり、頭の中で、理屈(ロジック)の順番は意外と後ろなんです。その話を聞くかどうかは、もっと手前の感覚で決まってしまいます。

僕は、人は感情で決断し、理性で納得するものだと考えています。料金表や実績の数字は、「ここに頼もう」と感じた人が、自分の判断を確かめるために読むものです。

売れる文章の型でも、問題の次に置かれるのは「親近感」

これは、僕だけの感覚ではありません。

売れる文章の型として知られる「PASONA(パソナ)の法則」は、マーケターの神田昌典さんが1999年に作ったものです。その新しい形の「新・PASONAの法則」では、相手の問題を示したすぐあと、2番目に「親近感(Affinity)」が置かれています。

もとの型では、ここは「あぶりたてる(Agitation)」でした。問題を示したあと、不安をさらにかき立てる流れです。

神田さんは、2016年2月のダイヤモンド・オンラインのインタビューで、今必要なのは、あぶりたてることではなく、お客さんとの親近感であり、具体的な提案をより分かりやすく伝えることだ、と話しています。

親近感を生むのは、文章の中身だけでもありません。神田さんと共著者の衣田順一さんは、『コピーライティング技術大全』をもとにした連載(ダイヤモンド・オンライン、2022年12月4日)の中で、文章全体の調子や画像、配置のしかたも共感に直結する、と書いています。

つまり、こういうことです。好かれるかどうかには、書いてある内容だけでなく、色や写真、言葉の調子がそのまま関わっています。

だから、ホームページのデザインと言葉選びで大事なのは、来てほしいお客さんに興味を持ってもらい、好かれることです。

面白くない、と感じられたページは、その場で閉じられてしまいます。どれだけ良い内容を書いていても、読まれる前に終わります。

すべての人に好かれるページは作れない

好かれたい相手を、先に決める

ここで、難しいことが1つあります。すべての人にとって興味深いページは、ありえないということです。

子どもから年配の方まで、求めているものは年代でまるで違います。一人ひとりの興味や関心も、ますます細かく分かれています。

全員に好かれようとすると、色も言葉も、誰の邪魔にもならない無難なものになっていきます。無難なものは、嫌われないかわりに、選ばれる理由にもなりません。

だからこそ、誰に、何を、どうやって伝えるかが大事になります。言い換えると、ホームページには戦略が欠かせない、ということです。

戦略といっても、難しい話ではありません。「誰に、何を、どうするか」をはっきりさせること。僕が戦略と呼んでいるのは、これだけです。

「誰のためのものか」が、ホームページの骨格になる

その商品やサービスは、誰に買ってほしいのか。誰に使ってほしいのか。

まず、誰のためのものかをはっきりさせます。全員に話しかけるより、特定の1人に話しかけるほうが、話は聞いてもらいやすいからです。

それが決まるだけで、デザインも、言葉の選び方も決まってきます。

男性に向けて作るのと、女性に向けて作るのとでは、色も、文字の形も、言葉づかいも変わります。同じ女性でも、子育て中の主婦の方と、仕事でキャリアを積むことに熱心な方とでは、また違ってきます。60代に向けるのか、20代に向けるのかでも変わります。

変えたほうがいい、という話ではありません。相手に伝わるようにするには、変えなければいけないんです。

誰のためのものか、というのは、ホームページでもっとも重要な骨格になります。

誰のためのホームページなのかを、お客さんの側から点検する手順は、こちらの記事にまとめています。

好かれるデザインは、相手が身構えずに見られる色づかいから

誰が入ってくるかで、部屋のつくりは変わる

誰に、が決まれば、どんな色を使うか、写真の雰囲気をどうするか、ページをどう組み立てるかなど、デザインに関わることの多くが決まってきます。

小児科の待合室を思い浮かべてみてください。壁は明るい色で、椅子の角は丸く、本棚には絵本が並んでいます。

一方、法律事務所の応接室は、落ち着いた色の壁に、どっしりした机と椅子です。

どちらが正しい、という話ではありません。熱を出した子どもと付き添いの親が入ってくるのか、大事な相談を抱えた大人が入ってくるのか。入ってくる人が違うから、部屋のつくりが違うんです。

もし、この2つが入れ替わっていたらどうでしょう。絵本の並ぶ明るい部屋では、相続の相談は切り出しにくい。重たい机と椅子が並ぶ部屋では、子どもは泣き出してしまいそうです。

ホームページの色も、同じ決め方をします。たとえば、こんな目安があります。

  • 若い女性に向けるなら:パステルカラー(白を混ぜたような、淡くやわらかい色)
  • 年配の女性に向けるなら:落ち着いた色を基本にして、差し色(少しだけ使う目立つ色)を入れる
  • 40代以降のビジネスマンに向けるなら:黒と白を基本にして、色を多く使いすぎない

これは出発点です。同じ年代でも、扱っている商品や、お店の雰囲気で変わってきます。

好かれるデザインは、相手が身構えずに見られる色づかいから始まります。

逆に、来てほしいお客さんに嫌われる色づかいをしていれば、それだけで閉じられてしまいます。いくら内容が良くても、気持ちの面で受け入れてもらえないと、理屈で考えてもらうところまで進めないのが人間です。

色には、持たれやすい印象がある

では、色はどう選べばいいのか。

会社やお店に、もう決まった色(ロゴの色や、看板の色)があるなら、それを軸にします。決まっていなければ、お客さんに渡したい価値に、いちばん近い印象の色を選びます。

色には、それぞれ持たれやすい印象があります。そして、同じ色に、良い印象と悪い印象の両方があります。

  • 青:誠実、清潔、冷静(悪く出ると、冷たい、さみしい)
  • オレンジ:親しみ、陽気、家庭的(悪く出ると、騒々しい、軽薄)
  • ピンク:可愛い、若い(悪く出ると、幼稚)
  • 茶:ぬくもり、安心、堅実(悪く出ると、地味、頑固)
  • 黒:高級、洗練、威厳(悪く出ると、恐怖、不安)

色の受け取り方は、世代や、その人の経験でも変わります。ここに並べたのは、あくまで目安です。

大事なのは、自分の好きな色で決めないこと。来てほしいお客さんが見たときにどう感じるかで、最後に決めます。

色の数は、背景を入れて4色までにする

もう1つ、すぐに使える目安があります。色の数です。

色は、数が増えるほど、まとめるのが難しくなります。慣れないうちは、背景の色を入れて4色までに抑えるのが無難です。

割合は、背景の色を70%、主役の色とそれを支える色を合わせて25%、ボタンなど目立たせたい場所の色を5%にすると、大きな失敗はしにくくなります。

来てほしいお客さんがふだん読んでいる雑誌や、よく見ているサイトを開いて、色や写真の雰囲気、配置を見ておくのも役に立ちます。先ほどの連載の中で、神田さんと衣田さんも、そうすることで読み手が「見慣れた」印象を持ち、親近感がわきやすくなる、と書いています。

言葉は刃物。デザインより繊細で、扱いが難しい

「言葉は、相手に合わせて研ぐ」という見出しの図解で、オレンジの枠の「誰にも向けない」(ぼんやりした大きな吹き出しの下を、グレーの人たちが素通りしている)から、緑の枠の「1人に向ける」(短くくっきりした吹き出しの前で、1人が足を止めて自分を指さしている)へ矢印でつながっている。下の帯に「研ぐとは、削ること」。

大河ドラマの台詞が、胸に刺さった

デザインよりも、もっと繊細で難しいのが、どんな言葉を使うかです。

2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』に、こんな場面がありました。本木雅弘さんが演じる斎藤道三が、自分を「お前」と呼んだ息子の高政に、こう言い放ちます。

言葉は刃物ぞ。気をつけて使え!

見ていて、胸に刺さりました。

言葉は刃物。深い。その通りだと思いました。

何が言いたいかというと、言葉は、使い方ひとつで、人を助けもすれば、傷つけもする、ということです。

刃物は、毎日の暮らしに欠かせないものです。一方で、人を傷つけるものにもなります。

相手に合わせて研いだ一言は、長い説明より先に届く

ホームページで使う言葉は、業種にもよりますが、極限まで研ぎ澄ませる必要があります。きらりと光る刃を読む人に感じさせるような緊張感が、ときには要ります。

よく研いだ刃物は、軽い力ですっと切れます。言葉も同じで、相手に合わせて研いだ一言は、長い説明より先に届きます。

研ぐというのは、難しい言葉を足すことではありません。削ることです。一言で済むことを、長く書かない。

たとえば、同じ学習塾でも、誰に向けるかで最初の一言は変わります。

誰にも向けていない言葉:一人ひとりに寄り添い、確かな学力を育てます。

中学3年生の保護者に向けた言葉:受験まであと半年。志望校を下げるかどうか、迷っていませんか。

小学校低学年の保護者に向けた言葉:宿題のたびに、親子げんかになっていませんか。

1つ目は、間違ったことは何も言っていません。でも、読んだ人の気持ちは動きません。

2つ目と3つ目は、読む人を選びます。そのかわり、当てはまる人は「うちのことだ」と手を止めます。

言葉を研ぐときに頼りになるのは、お客さんが実際に口にした言葉です。電話や問い合わせで、最初に何と言われたか。それを、言われたとおりに書き出してみてください。

お客さんの悩みを言い当てる一言の作り方は、こちらの記事で詳しく書いています。

切れる言葉ほど、向ける方向に気をつける

お客さんに行動を起こしてもらいたい場面では、なおさら言葉の強さが要ります。

ただ、よく切れる刃物ほど、扱いには気をつけなければいけません。

商品やサービスが持っている価値以上のものを期待させて買ってもらえば、クレームにつながります。そのつもりがなくても、信用は地に落ちます。

不安をあおる言葉も同じです。「このままでは手遅れになります」と強く書けば、目は止まります。でも、あおられて申し込んだ人が、その会社を好きになっているとは限りません。

道三の台詞の後半は、「気をつけて使え」でした。人を動かす力のある言葉ほど、相手のために使いたいものです。

言葉を磨く話は、ポッドキャストの第58回『AI時代、頑張ってもアクセスは減る!だからこそ、磨くべきは「言葉」』でも話しています。

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