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讃岐うどんのフランチャイズチェーン、丸亀製麺はご存じでしょうか。現時点で国内に852店舗。すべての店で、粉からうどんを作ってます。
そのうちの数店舗しか訪れてませんが、その品質の安定感はすごい。もっとも勉強になったのは、その店舗構造の面白さとマーケティング戦略。うどんを注文して、受け取るまでの時間はまるで「テーマパークでアトラクションに乗るのを待っているような感覚」なんですよね。
つまり、店舗設計がひとつの大きな「演出」として計画されています。お客さんは入店してから出ていくまでのプロセスを一種のエンターテイメントとして楽しめる。このユニークな戦略は、お客さんを目で楽しませるだけでなく、多くの顧客に新しい体験を提供し続けています。
丸亀製麺のテーマパーク的店舗構造
丸亀製麺のテーマパーク的店舗構造は、テーマパーク的構造といえるのではないかなと思ってます。どんな店舗構造かというと、厨房を取り囲むようにぐるっとお客さんの導線が設計されてるんですね。
店内に入ると、まず飛び込んでくるのは、製麺機。それと「国産小麦100%」と書かれた小麦粉の入った大きな茶袋です。目の前で、粉と水が練り合わされ、生地が成形されていく様子を見ることができます。ほんとうに粉から作ってることが、一目でわかります。ブロック状の生地が延ばされ、うどん状にカットされていく様子もお客さんから丸見え。
丸亀製麺は、注文して先に会計するシステムで、会計に至るまでにお客さんは、そうしたライブ感あふれる厨房の舞台を見ながら、好きなうどんを選べる設計になっているんです。
混雑時ほど、お客さんを目で楽しませてくれる
この設計が最大のインパクトを発揮するのは、混雑時でしょう。
注文待ちのお客さんは、厨房という舞台をぐるっと取り囲む観衆のように、待つことになります。ディズニーランドやUSJではアトラクションの順番を待っているときに、その世界観を楽しめるようにいろんな仕掛けがされていますよね。
恐竜のジェットコースターなら、恐竜時代の雰囲気が演出され、宇宙船がテーマなら銀河系の雰囲気の照明や音声が施されてるわけです。
そんな感じで、作り立てのうどんを食べる期待感を醸成してるんですね。
入り口と出口が違う
徹底してるな、と感じたのは、入り口と出口をはっきり分けていることです。ほとんどの飲食店では、入り口と出口は一緒ですよね。丸亀製麺では、わざわざ、分けている。
それはおそらく、2つの理由があるのではと考えてます。
入り口と出口を分ける2つの理由とは?
1つは、入り口から期待感を高めるためのライブ感を演出しているので、それを逆流するような冷めた演出は避けたいからでしょう。完全にエンターテイメントの考え方です。
どうすれば人はよろこび、がっかりするか、人の心情、感情を考え尽くしているからだと思いました。
実際、入り口から出口まで厨房を囲む構造ですが、出口側からは、厨房をあまり見れないようなっています。すくなくとも、入り口から楽しめるような厨房のライブ感は味わえません。
もう1つは、回転率です。
食事を終えたお客さんが帰るとき、お店を出やすく、そしてお店側もすぐに片づけて、次のお客さんを迎え入れる準備がしやすいようにしているのです。上記は想像ですが、あたらずとも遠からずかな、と思います。
丸亀製麺のコンサルは、USJを立て直したあの人だった!
もしかしたら、このテーマパーク的構造は、丸亀製麺にコンサルに入ったある人の影響かもしれません。丸亀製麺にコンサルにはいったある人とは、USJをV字回復させた立役者、森岡毅さんなんです。
USJをV字回復させた立役者、森岡毅氏の丸亀製麺立て直し戦略
こうした工夫はすべて、森岡毅氏の指導のもと、マーケティング戦略として組み込まれたのでしょう。森岡氏は、USJのV字回復を成功させた経験を丸亀製麺の再生にも生かしました。
森岡さんの戦略は、単に売上を伸ばすことだけではなく、ブランドの持続可能な成長を目指しています。それには、顧客が繰り返し来店したくなるような魅力的な体験を提供することが不可欠であり、そのためには店舗の設計からサービスの流れ、さらにはマーケティングまで、すべての要素が連携して機能しなければなりません。
このように、丸亀製麺はただのうどんチェーン店ではありません。それは、訪れるすべての顧客に特別な体験を提供する場所として、日々進化を続けています。そしてその中心には、顧客一人ひとりが持つ「うどんを食べる瞬間」に対する感動や期待を大切にしています。森岡氏の導入した戦略が顧客体験の核となっており、それが丸亀製麺をただのうどん店から、訪れるたびに新しい発見がある場所へと変えているのです。
森岡毅氏のマーケティング戦略
森岡毅氏による丸亀製麺のマーケティング戦略は、彼のブランド再構築の哲学と深い洞察に基づいています。森岡さんは、消費者が直接製品作りのプロセスを見ることができる「透明性」を重視しました。全店舗で粉から手作りするうどんを顧客に見せることで、品質への信頼を築き上げると同時に、食の安全性と新鮮さを保証させたんですね。
しかし、森岡さんがもっとも重視したのは、おそらく店舗設計ではありません。森岡さんは著書の中で「顧客視点」を繰り返し、強調しています。顧客体験を中心に据えずして、効果的なマーケティング対策は打てないと考えています。店舗の設計は、あくまでその一環。アトラクション待ちのエンターテインメントとしての体験を提供することにより、顧客の満足度を高め、店舗におけるエンゲージメントを向上させることが目的だったのでしょう。これにより、顧客はただうどんを食べるだけでなく、そのプロセス全体を楽しむことができるようになりました。
さらに森岡さんはうどんの選択肢を顧客に意識させ、ブランドの認知度を高めました。手掛けた広告キャンペーンは、丸亀製麺が提供する「出来たてのうどん」を強調しているのです。「このうどんは、生きている。」というキャッチコピーにそれは集約されています。こうした取り組みが他の競合との差別化を図りました。結果として、外食時のうどん選択の可能性を高め、顧客流入を増加させることに成功したのです。
このような包括的なマーケティング戦略と顧客中心のアプローチにより、森岡氏は丸亀製麺を単なるうどんチェーン店から、訪れるたびに新しい体験ができるブランドへと変革しました。彼の戦略は、飲食業界におけるブランド構築と顧客エンゲージメントの重要性を示す典型例であり、多くのビジネスリーダーにとって学びの多い事例となっています。
まとめ
森岡毅氏による丸亀製麺のマーケティング変革は、店舗を単なる飲食空間から体験型エンターテイメントスペースへと再定義しました。氏の戦略は、顧客体験の向上、ブランドエクイティの強化、そして文化的な魅力の伝達に重点を置き、消費者に新しい理由を提供して繰り返し来店を促したのです。
このアプローチは、丸亀製麺が国内外で差別化されたブランドとして成長する基盤を作り、飲食業界における顧客エンゲージメントとブランド構築の新たなモデルを示したといえます。