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見出しの言葉を1語変えただけで、注文が20%増えた広告があります。
いまはChatGPTやClaude、Geminiに「新PASONAの法則でセールスの文章を書いて」と頼めば、型どおりの文章が一瞬で手に入ります。
セールスライティング(商品やサービスを買ってもらうための文章)の型なんて、誰でもすぐ使える時代です。それなのに、同じ型で書いた文章でも、売れるものと売れないものにハッキリ分かれます。
その違いは、お客さんへの理解の深さ。もっと言えば、お客さんがふだん使っている言葉を、書き手が知っているかどうかです。
僕はこれまで400件以上のホームページ制作や支援に関わってきましたが、売る側と買う側の言葉のずれは、本当によく目にします。
この記事では、1語で注文が変わった広告の例から、言葉がずれる理由、講座受講生が何を変えたのか、そして自分の文章のずれを見つけて直す4つの手順をお話しします。
同じ型でも、見出しの1語で注文が20%変わった
「修理する」を「直す」に変えただけの見出し
まず、次の2つの見出しを見比べてみてください。
A:How to Repair Cars — quickly, easily, right(車を修理する方法。すばやく、簡単に、きちんと)
B:How to Fix Cars — quickly, easily, right(車を直す方法。すばやく、簡単に、きちんと)
どちらも「〜する方法」に、すばやく・簡単に・きちんと、という相手の得になることを添えた定番の型です。違うのは、Repair(修理する)かFix(直す)かの1語だけ。
どちらのほうが売れたと思いますか?
答えはBです。アメリカのコピーライター、ジョン・ケープルズさんの『Tested Advertising Methods』(日本語版は『ザ・コピーライティング』)に、ある通販のコピーライターが紹介した実例として載っています。
もとの「Repair」の見出しでも、注文はちゃんと取れていました。それを「Fix」に変えたところ、注文が20%増えたそうです。
本の中では、Repairは骨の折れる大仕事のように聞こえ、Fixはすぐに簡単に済みそうに感じられたからだろう、と説明されています。
何が言いたいかというと、見出しの型も、約束している中身もまったく同じだったということです。違ったのは、たった1語から受ける印象だけ。それだけで、注文の数が変わりました。
「修理」は売る側の言葉、「直す」は困っている人の言葉

理由は、もう1つあると思っています。
車が動かなくなった人は、頭の中で「修理しなきゃ」とは、あまり言いません。「どうしよう、早く直さないと」と思います。修理は、直す仕事をする側が、見積書や伝票に書く言葉です。
スーパーでも、同じことが起きています。お店の人どうしは「青果」「精肉」と呼んでいても、お客さんが店員さんに聞くのは「野菜はどこですか」「お肉はどこですか」です。同じ売り場のことなのに、口から出てくる言葉が違います。
お客さんは、自分の頭の中にある言葉を見つけたときに、「これは自分のことだ」と感じます。型は、その言葉までは選んでくれません。
型は必要。でも、型だけでは売れる文章にならない

型は、先人がお金と時間をかけて確かめた「結果の出る事実」
誤解のないように言っておくと、売れる文章を書くなら、型を学ぶことはやっぱり欠かせません。
型を知らないまま書こうとすると、毎回ゼロから話の順番を考えることになります。時間がかかるうえに、外れやすい。
型は、先人たちが大金と長い時間をかけてテストし、「この順番で、こう書くと反応が出た」と確かめてきた結果のかたまりです。その多くは、いまなら本を何冊か買うくらいのお金で手に入ります。
僕自身は、本やセミナーにお金をかけすぎて、借金を抱えた時期もありました。振り返ると、大事なことの多くは、選ぶ目さえあれば数万円で学べたと思います。
ただ、痛い思いをしないと、それが大事だと気づけなかったのも本音です。僕にとっては必要な遠回りだったのかもしれません。
型には、新PASONAの法則のように文章全体の順番を決めるものもあれば、キャッチコピーの言い回しの型もあります。キャッチコピーの型は、別の記事で35個にまとめました。

型が教えてくれるのは「順番」。「言葉」は教えてくれない
型って、カーナビの道案内に似ています。行き先をセットすれば、曲がる交差点も進む道も、きっちり教えてくれます。
ただ、入れた住所が1文字違っていたら、カーナビは正確な案内のまま、あなたを違う家の前に連れていきます。案内そのものは、少しも間違っていないのに、です。
文章も同じです。型が教えてくれるのは、話す順番だけ。誰に向けて、どの言葉で話すかは、書き手が自分で入れるしかありません。
ここを外すと、いくら型どおりに整っていても、誰の心にも届かない文章で終わってしまいます。
AIで型どおりの文章が数秒で出るいま、差がつくのは言葉の選び方
いまはAIを使えば、型どおりの文章なんて数秒で出てきます。裏を返せば、どこを見ても似たような文章ばかり、ということです。
AIは「どう書くか」は得意です。でも、あなたのお客さんが電話口でどんな言葉を使うかまでは知りません。こちらが渡さないかぎり、どこかで見たような無難な言葉で文章を埋めてしまいます。
だから、型をAIに任せられるいまのほうが、お客さんの言葉を知っている価値は上がっている。僕はそう考えています。
売れる文章を分けるのは、型ではなく顧客理解
「修理する」と「直す」のずれって、もっと大きな「お客さんが何を望んでいるか」のずれの一部なんですよね。たとえば、こんなことがよくあります。
たとえば葬儀社|「業界最安値と充実のサービス」より「短い時間で、こぢんまりと」
売る側としては、業界でいちばん安い料金も手厚いサービスも、両方アピールしたくなります。どちらも他社に負けない強みだからです。
でもお客さんのほうは、それよりも「短い時間で、とにかくこぢんまりと済ませたい」と考えていたりします。
そういう人にとって「充実のサービス」は、あまり響きません。むしろ、大がかりで疲れそうに見えることさえあります。
たとえば外壁塗装|「きれいに塗り替える」より「目立たないように」
外壁塗装の会社って、つい「新築のようにきれいに塗り替えます」と書いてしまいがちです。
でも、お客さんによっては、きれいになることより、目立たないことのほうが先に来る場合があります。ご近所の中で、うちだけ色が浮いてしまわないか。そういうことを気にしている人に「見違えるほどきれいに」と書いても、気持ちは動きません。
ずれを1つ直すだけで、反応が変わることがある
このずれ、売る側からはなかなか気づけません。毎日仕事をしていると、自分たちの言いたいことや業界の言葉が、つい当たり前になってしまうからです。
でも裏を返せば、ずれを1つ直すだけで、頼んでくれる割合や問い合わせの数が変わることがあります。
いろんな会社のホームページを見ていても、実に多くの業種でこのずれが起きています。お客さんの理解が浅いままなら、いくら文章の型を使っても売れるようにはなりません。
お客さんを知ることは、マーケティングを学ぶ前からできる
そもそもマーケティングは、お客さんを知らないと成果が出ません。奥が深い世界ですし、全部学ぶのは大変です。
でも、お客さんを知ることなら、どんな業種でも今日からできます。具体的には、次のようなことです。
- 悩み
- 痛みや不安
- 不平や不満
- 欲しいもの、こうなりたいという気持ち
- 片づけたい問題や課題
ここが分かってはじめて、型が生きてきます。そのうえで商品のアイデアを磨き、ライバルを調べて組み立てていけば、勝てる事業に近づきます。
型を知っていた成田さんが変えたのは、聞く深さだった
デザインも構築もできた。それでも提案に自信が持てなかった
僕の「勝てるホームページ作成講座」を受けてくれた、成田さんの話をさせてください。スキルや型があっても、お客さんをどれだけ深く知るかで結果がまるで違ってくる。それがよく分かる事例です。
成田さんは、ココナラでホームページ制作を受注しているフリーランスの方です。受講前からデザインも構築もできていて、実際に案件も獲れていました。
ただ、お客さんに「ありがとう」と言われても、内心はずっと「もっといい提案ができないか」と自信を持てずにいたそうです。
トップページの構成も、それまでは「なんとなくかっこよく見える」形で作っていたとのこと。作るスキルはあっても、その型に何をどう入れるかという根拠が持てていなかったんだと思います。
ヒアリングの量は、講座の基準を10とすると「多分2」
成田さんが講座でいちばん印象に残ったと教えてくれたのが、ヒアリング(最初の聞き取り)の大切さでした。最初は「え、ここまで聞くの?」と驚いたそうです。
対談のなかで、講座のヒアリング量を10としたら以前はどれくらいでしたか、と僕が聞いてみたときの答えがこれです。
多分2とかです。
以前の成田さんは、お客さんから出てきた話をそのまま素材に使っていました。でもいまは、話を引き出して整理したうえで、ホームページに落とし込んでいます。
ヒアリングを通してお客さん自身も気づいていない強みを引き出し、言葉にできる。そこがいちばん腑に落ちたところだった、と成田さんは話してくれました。
成田さんが変えたのは、型ではなく、お客さんを知る深さだったということです。
単価を3倍にしても、依頼数は減らなかった
受講後の成田さんは、「この順番には意味がある」と理由を添えてページの構成を提案できるようになりました。テンプレートを使いつつ、文章の案まで出すこともあるそうです。
そのうえで、ホームページ制作の単価を3倍に上げました。最初は問い合わせが途切れるのが怖かったそうですが、減るどころか依頼は増えています。
お客さんの層も変わってきました。
ただ単に安さで選ばれるんじゃなくて、ちょっと信頼もされつつ選ばれているのかなという感覚がありました。
すごいですよね。聞く深さが変わり、提案に根拠を持てるようになったことが、価格以上の価値につながったのだと僕は見ています。
もちろん、受講すれば誰もが単価を3倍にできるわけではありません。価格の決め方もお客さんの層も、人それぞれです。
ここで伝えたいのは、同じスキルや型を持っていても、お客さんを知る深さで、結果が大きく変わることがある、ということです。
ココナラでホームページ制作を出品しているフリーランス、成田さんとの対談は、動画でも見られます。
言葉のずれを見つけて直す4つの手順
ここからは、ご自身のホームページやチラシ、商品ページの文章を手元に置いて、読み進めてみてください。
- お客さんが最初に使った言葉を、そのまま書き写す
- 自分の見出しとサービス名を、横に並べる
- ずれている言葉を、お客さんの言葉に置き換える
- 直すのは1か所ずつ。直した日と、そのあとの反応を書き残す
手順1|お客さんが最初に使った言葉を、そのまま書き写す
問い合わせのメールやフォームの文、電話のメモ、LINEのやりとりを、直近で10件ほど開いてみてください。
そこから、お客さんが困りごとを話している部分を、言い換えずにそのまま書き写します。「要するにこういうことだな」と自分の言葉にまとめた時点で、売る側の言葉に戻ってしまうからです。
電話の中身を覚えていないなら、これから1か月、お客さんの最初のひと言だけでもメモに残してみてください。
Googleサーチコンソール(Googleが無料で出している、自分のサイトの検索の数字を見られる管理画面)を使っているなら、「検索パフォーマンス」のレポートも見ておきます。検索した人が実際に打ち込んだ言葉ごとに、数字がまとめられています。
手順2|自分の見出しとサービス名を、横に並べる
次は、トップページといちばん見てほしいページから、見出しやサービス名、ボタンの文字を抜き出します。
それを手順1のお客さんの言葉と横並びで比べてみてください。お客さんの側に一度も出てこない言葉には印をつけます。たいていは、業界の中で使う言葉か、社内で呼んでいる言葉です。
(たとえば、鍵の交換をしている会社の場合)
ページの見出し:玄関シリンダー交換・防犯性の高い鍵への取り替え
お客さんが書いてきた言葉:玄関の鍵が回りにくくて、ときどき開かなくなる
お客さんが書いてきた言葉:引っ越してきた家の鍵を、前に住んでいた人が持っていないか気になる
売る側からすれば、どれも同じ仕事の話ですよね。でも、お客さんが探しているのは「シリンダー交換」という作業の名前ではなく、「開かなくなる不安」や「誰かが鍵を持っているかもしれない落ち着かなさ」を解消することなんです。
手順3|ずれている言葉を、お客さんの言葉に置き換える
印をつけた言葉を、お客さんの言葉に変えていきます。真っ先に直すのは、ページの上にある見出し。お客さんが最初に目にする言葉だからです。
直す前:玄関シリンダー交換
直したあと:鍵が回りにくい、前の住人の鍵が気になる。そんなときは、玄関の鍵ごと取り替えます
ただ、業界の言葉をすべて消す必要はありません。「鍵交換」のように、お客さんが検索するときに使う作業名もあります。見出しをお客さんの困りごとから始めて、作業名を後ろに残せば、両方のニーズに応えられます。
ホームページの最初の画面に置く一言の直し方は、こちらの記事で手順にまとめました。

手順4|直すのは1か所ずつ。直した日と、そのあとの反応を書き残す
一度に全部を書き換えると、どの言葉で変わったのかが分からなくなります。直すのは、1か所ずつにします。
ケープルズさんの本みたいに、見出しの1語を変えて注文数で比べられるのは、広告や通信販売のように反応がたくさん集まる場合です。スモールビジネスのホームページでは、そこまでの数が集まらないことのほうが多いと思います。
そういうときは、直した日と場所をメモに残して、そのあと数週間の問い合わせの数と中身を比べてみてください。
数より先に、中身から変わることもあります。ページに置いた言葉をお客さんがそのまま使って問い合わせてくるようになったら、ずれが縮まってきた合図です。
言葉のずれを直すときに、よくある2つの失敗
失敗1|お客さんの言葉を、どれでもそのまま使ってしまう
お客さんの言葉は大事ですが、どれでもそのまま使えばいい、というわけではありません。1人だけが使っていた言い回しや、きつすぎる言い方は、ほかのお客さんには伝わらないことがあります。
見るのは、何人ものお客さんが、同じような言い方をしているかどうかです。集めた10件のうち、何件にも出てくる言葉なら、多くの人の頭の中にある言葉だと考えていいと思います。
失敗2|お客さんの言葉を入れようとして、型を崩してしまう
お客さんの言葉を入れようとして、話の順番まで崩してしまうパターンです。寄りそったつもりが、いつまでも悩みの話が続いて、解決策も料金も出てこない。
型が決めるのは順番で、中身がお客さんの言葉です。順番は型に任せて、中に入れる言葉はお客さんの側から選ぶ。この役割分担を崩さないようにしましょう。
まとめ|型は順番を決め、お客さんの言葉は中身を決める
- セールスライティングの型は欠かせない。ただ、型が教えてくれるのは話す順番で、どの言葉で話すかまでは教えてくれない
- 同じ型でも、売る側の言葉で書くか、お客さんがふだん使う言葉で書くかで、反応は変わる。「Repair(修理する)」を「Fix(直す)」に変えた見出しは、注文が20%増えた
- ずれを見つけるには、お客さんが最初に使った言葉をそのまま集め、自分の見出しと並べて、1か所ずつ直す
講座受講生の成田さんは、デザインや構築のスキルはそのままに、お客さんの話を聞く深さを変えました。そのうえでホームページ制作の単価を3倍にし、依頼数は減るどころか増えたそうです。
今日やることは1つです。直近の問い合わせのメールを3通開いて、お客さんが最初に書いた困りごとの言葉に、線を引いてみてください。それが、いまのページに足りていない言葉かもしれません。
お客さんの言葉を集めるのは、型を覚えるより地味だし時間もかかります。本を読んで済む話ではなく、1件ずつの問い合わせと向き合う作業だからです。
それでも、売れる文章は、型からではなく、お客さんから始まります。
お客さんがあなたの商品やサービスを知ってから頼むまでに、どこで悩み、どんな言葉で迷っているのか。先に見取り図を作っておくと、手順1で集めた言葉をページのどこに置くべきかが一目で分かります。
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出典
- ジョン・ケープルズさん 著、神田昌典さん 監訳、齋藤慎子さん・依田卓巳さん 訳『ザ・コピーライティング 心の琴線にふれる言葉の法則』ダイヤモンド社、2008年9月(原書:John Caples『Tested Advertising Methods』第5版、Prentice-Hall、1997年。車の見出しの例は原書の第14章「How to Appeal to a Mass-Market Audience」)
- 勝てるホームページ作成講座 受講生 成田さんとの対談(https://youtu.be/csExEr7fZNQ)
- Google Search Console ヘルプ「検索パフォーマンス レポート(検索結果): 概要と基本設定」(https://support.google.com/webmasters/answer/7576553?hl=ja)
