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「ChatGPT対策」を買う前に、見てほしい数字があります。
最近、「ChatGPT対策」「Gemini対策」といった、AIの名前を冠した対策サービスを見かけるようになりました。AIに自社の名前を出してもらいたい、という切実な需要があるから商品が生まれる。その気持ちは分かります。
僕自身、AI検索への対策を実装する側の人間です。ただ、実装する側だからこそ、割に合わないものは割に合わないと言っておきたい。そして今回、それを判断できる大規模な実測データが出ました。
先に結論を書きます。AIごとの個別対策は、ほとんどのスモールビジネスにとって割に合いません。
効くのは、もっと地味な2つのことです。この記事では実測の中身と、その2つを書きます。
16万件の質問で分かった「AIごとに引用元はバラバラ」


調べたのは、AIライティングツールを開発するWritesonicの創業者、サマニュー・ガーグさんです。2026年7月22日に自社ブログで公開した調査「Do AI Engines Cite the Same Sources? A Study of 161,286 Prompts」で、2026年5月から6月にかけて、ChatGPT・Gemini・Perplexity・GoogleのAIによる概要(検索結果の上に出る、AIがまとめた答え)の4つに161,286件の質問を投げ、答えの根拠として名前が挙がった情報源を比較しました。
結果、4つのAIすべてに引用された情報源は、全体のわずか3.8%。引用されたサイトの72〜73%は、どれか1つのAIにしか出てきませんでした。
1つ添えておくと、WritesonicはAIでの見え方を測るツールを売る会社です。調査には利害があるので、その前提で読む必要があります。ただ方向としては、別の独立系の調査でも、AIどうしの引用元の重なりは1〜2割にとどまるという同じ向きの報告が出ています。
つまりこういうことです。AIが4つあれば、名前が出る場所は4通りにばらける。どれか1つを攻略しても、残りはカバーできない。
「AIごとの攻略」が割に合わない理由
72〜73%が1つのAIにしか出ないということは、仮に「ChatGPT対策」が完璧に成功しても、GeminiやPerplexityで見つかる保証はまったくない、ということです。
じゃあ4つ全部やるのか。AIの中身は数ヶ月単位で更新され、引用のされ方も変わり続けます。大企業ならまだしも、スモールビジネスの時間と予算で4つのAIを個別に追いかけ続けるのは、現実的ではありません。
個別対策を売る業者を全部否定する気はありません。ただ、「4つのAI全部に引用される情報源は3.8%」という実測を知ったうえで、それでも買うかどうかを判断してほしいんです。
では、何に投資すればいいのか


では、どのAIから見ても強い状態はあるのか。答えは2つあります。
効くこと(1):一つの土俵で深くなる
ここで2つ目の研究を紹介します。
グロース戦略の専門家ケビン・インディグさんが、ニュースレターGrowth Memoで2026年8月3日に公開した「Does topical focus make your brand more visible?」。約1,000カテゴリ・1,458ブランド・283,215件の引用データを分析した研究です。
結論が面白いんです。専門から遠い分野に浅く広く顔を出すことは、AIでの見つかりやすさにむしろマイナスに働いていました。
ただし、罰せられているのは「広さ」ではなく「浅さ」。そして、1つの分野で繰り返し深く名前が出ているブランドだけが、隣の分野への拡張に成功していました。
商店街で信頼されるのは、「なんでも置いている店」ではなく「魚のことならあの店」です。魚屋として信頼を積んだ店が総菜を出しはじめると、「あの魚屋の総菜なら間違いない」と売れていく。順番が逆だと、どちらも中途半端に見られて終わります。
昔から弱者の戦略(ランチェスター戦略)で言われてきた一点集中の順番論に、AI時代の実測データが付いた形です。
僕のクライアントの新電工株式会社(中川CEO)は、6つの事業領域を持つ多角化企業です。ホームページを作るとき、全事業をまんべんなく薄く並べるのではなく、事業ごとにページを深く作り込みました。
結果、初回の打ち合わせで「結局どんな会社なの?」と聞かれることがなくなり、既存のお客さんから「こんなに色んな事業をやっていたんですね」と驚かれて、別の事業での追加相談が生まれるようになりました。件数の話ではなく質の変化ですが、「深く語られた領域が、隣の領域の仕事を連れてくる」というインディグさんの分析と同じ構造が、現場でも起きています。
効くこと(2):どこから見ても同じ事実が確認できる
もう1つの共通の土台は、一次情報の一貫性です。
4つのAIは、それぞれ違う場所から情報を拾います。ホームページ、SNS、Googleビジネスプロフィール、第三者の紹介記事。だからこそ、どこから確認しても同じ事実が出てくる状態が効きます。
会社名、所在地、営業時間、サービス内容、実績の数字。これらがホームページとSNSと外部の記事で食い違っていたら、AIはどれを信じていいか分からず、引用の候補から外れやすくなる。
そして、引用の中身になるのは、あなたにしか書けない一次情報です。自分の現場の数字、お客さんの実際の言葉、事例の経緯。これはChatGPTが勝ってもGeminiが勝っても腐らない資産で、どのAIの仕様変更にも振り回されません。
今日からやる3つ
- AIの名前が付いた対策サービスの提案を受けたら、「4つのAI全部が引用する情報源は3.8%」という実測を思い出して、費用対効果を聞き直す
- 「うちが深く名前を出せている土俵」を1つ、言葉で言えるか確認する。言えなければ、広げる前に深くする
- 会社の基本情報と実績の数字を、ホームページ・SNS・外部サイトで突き合わせて統一する
まとめ
- Writesonicの16万件の実測では、4つのAIすべてが引用する情報源は3.8%。72〜73%は1つのAIにしか出ない
- 罰せられるのは広さではなく浅さ。1つの分野で深く名前が出るブランドだけが、隣へ広がれた(ケビン・インディグさんの分析)
- 投資すべきは、AIごとの攻略ではなく、一つの土俵の深さと、どこから見ても同じ事実が確認できる一次情報
滋賀県草津市の増井・阪口税理士事務所(阪口さん)は、自作のホームページが本人いわく「ただの名刺になってしまっていた」状態から、税理士としての専門の中身を深く言葉にした1本に作り替えました。
結果、新規の問い合わせは年に2〜3件あるかないかだった状態から、月3〜4件へ。制作費の4〜5倍が売上として上がっています。
もちろん、AIごとの個別の細工は何ひとつしていません。深く掘った一点は、検索にもAIにも、そして目の前のお客さんにも効きます。
自分のビジネスがどの土俵で一点突破するべきか、そこから整理したい方へ。自社と競合の情報を入れると、勝ちやすい立ち位置を1枚の地図にする無料ツールを配っています。公式LINEに登録して「マップ」と送ってください。
出典
- Writesonic Blog「Do AI Engines Cite the Same Sources? A Study of 161,286 Prompts」サマニュー・ガーグさん(2026年7月22日)
- Growth Memo「Does topical focus make your brand more visible?」ケビン・インディグさん(2026年8月3日)

