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人生、どうしても負けられない戦いがある。そんなとき、知っておいた方がいい心理知識があります。おそらく、知っている方が勝ち、知らない方が負ける。それほど強力なノウハウだからです。
その代表的なノウハウは3つあります。
- フット・イン・ザ・ドア
- ドア・イン・ザ・フェイス
- ロー・ボール・テクニック
さっそく、それぞれを解説しましょう。
フット・イン・ザ・ドア
彼を知り己を知れば百戦あやうからず。
彼を知らずして己を知れば一戦一負。
彼を知らず己を知らざれば戦うごとに必ずあやうし。
孫氏『兵法』の中でもよく知られた言葉です。マーケティングは、人を知らないとできません。
人を知るにはどうすればいいか。人それぞれ個性や価値観は違っても、脳の反応、こころの動きには法則があるようです。それを学問したのが「心理学」。
ビジネスでも日常でも知っておいて損はない知識の宝庫だと思います。
人は、思った通りに行動したい
人は、自分が思ったようにしか動きません。
理屈ではなく、水が高いところから低いところに流れるように法則なんですね。でも、現実には、誰かの思い通りに動かざるを得ない場面が多々あります。それを脳はどう解釈するかというと「その選択を自らがした」と思おうとするようです。買うつもりはないのに買ってしまった。いつの間にか誘いを断れなくなっていた。
なんて経験は誰にでもあると思いますが、それがまさにそう。
断わる自由を奪う
心理学を学ぶと意図的に、そうした状況を作ることができます。どういうことかというと、ある心理法則を利用するのです。
たとえば、募金活動が目的だとします。
「○○災害の被災者のために署名活動をお願いしています。署名いただけませんか?」
そういわれてペンを目の前に出されたら、あなたならどうしますか?もちろん、断わることもできます。ですが、ペンをとって署名したら最後。
「ありがとうございます。いくらでもいいですから被災者のために募金をお願いできないでしょうか?」
そこで「募金はしません」と言える人は多くないでしょう。
フット・イン・ザ・ドアという心理テクニックのすごさ
最初の依頼に対しては、断ることも、受け入れることも、保留しておくこともできます。
選択は自由です。ところがいったん最初の依頼を受け入れると、人は最初の依頼に拘束されてしまうのです。自分の行動、言動に一貫性を持たせてしまう。
だから、次の依頼に対し「逆らい難い強制力」を感じてしまいます。
これを心理学では、フット・イン・ザ・ドア(ドアに足を挟む)テクニックと呼びます。
誰かの思い通りにならないために
このテクニックは簡単なので、様々な場面で使われています。セールスの場面でも度々目にしますね。
アンケートは典型です。目的は、その内容そのものではありません。アンケートを終えた後にお願いされる、個人情報を得るのが目的である場合がほとんどです。
また、お願いするのが上手なお母さんは、子供に部屋の片づけをさせようと思ったら、こういうでしょう。
「テーブルの上、拭いといてくれない?」⇒「あ、ついでに掃除機もかけてくれたら助かる~」⇒「部屋も片付けてみたらすっきりするよ?」
フット・イン・ザ・ドアの構造
小さな要請⇒大きな要請(本来の目的)。これが、フット・イン・ザ・ドアの構造です。
より高度になると、小さな要請を緻密に積み重ねて、大きな要請(本来の目的)を受け入れさせることもできそうです。しかし、相手に意図的にそうされたと知ったら、腹立ちませんか?服屋の店員が試着を執拗にすすめる場合、一度試着するとお客は買いやすくなるというのを分かってやっていることが多いでしょう。この構造を分かっていれば、正しい判断ができます。
社会は不平等です。知っているか知らないかで、損をすることが多い。リスクの時代ですから、人を打ち負かす目的ではなく、自分が負けないようにするためにも心理学は学んでかないとな、と思います。
ドア・イン・ザ・フェイス
フット・イン・ザ・ドアというのは、人は自分の判断に一貫した言動・行動をとろうとする心理を利用して、わざと小さな要請をしてそれを受け入れさせ、その後に本来の目的である大きな要請をするテクニックでした。
では、大きな要請をして、小さな要請をするとどうなるか?
それもまた、心理学を応用して、こちらの要請を相手に受け入れさせるテクニックとなります。
人は、罪悪感を感じてしまう生き物
人は、それがたとえ法外な要求だとしても断ると、「罪悪感」を感じてしまう生き物です。理屈ではなく、そういうものだそうです。
だから、一度断った後にまた何かを要求されるとその必要がなくても「今度は応じなくてはいけない」という義務感が芽生える。断わり続けることは、そのつど罪悪感を高められることになり、不快です。ドア・イン・ザ・フェイスは、その心理を応用して厚かましく大きな要請をして、わざと断らさせて小さな要請をすることで、本当の目的を受け入れさせるテクニックです。
フット・イン・ザ・ドアが扉を開けさせたらすかさず足を入れるなら、ドア・インザ・フェイスは扉を開けたらいきなり顔を突っ込むわけです。
値下げ交渉の常とう手段
プロのバイヤーや実戦でセールスをしている方、それと関西の商売人なら普通に使っているでしょう。
ドア・イン・ザ・フェイスは、値下げ交渉の常とう手段です。
たとえば、10万円の宝石をすこしでも安く買おうと思ったら、「3万円にしてもらえません?」というわけです。当然、ばかげた要求なので断られますが、すかさず「じゃあせめて、7万円にしてもらえない?」と聞くと、
「8万円くらいならなんとか頑張ります」
となったりします。
相手の思い通りにさせないために
この心理テクニックは多くの場面で使われています。
ビジネスにおいては、それを知っているか知らないかで、収益に影響しますので知っておくべきでしょう。相手が、ドア・イン・ザ・フェイスを仕掛けているな、と気づければ、断っても不要な罪悪感を感じる必要はありません。
ロー・ボール・テクニック
自分の主張、要請を通すためのテクニック、フット・イン・ザ・ドア、ドア・イン・ザ・フェイスとしょうかいしましたが、もうひとつ、強力な手法があります。
それが、ロー・ボール・テクニック。
どういうことかというと、受け取りやすいボール(要請)を投げて承諾させたうえで、別の事実を付け加えるというもの。ちょっとずるい手法です。それだけに、相手がロー・ボールを投げてきたときは注意が必要。
SALEやバーゲンの理論
広告や店頭に掲げられた「SALE」や「バーゲン」。
これがまさに、ロー・ボールです。なぜ「SALE」や「バーゲン」に人が惹かれるのかというと、通常より安い買い物ができたり、それによって得をしたり、賢い買い物をしたと思いたいからです。
でも、ロー・ボールの目的は、その先にある。訳ありのセール品はその典型です。
- セール品ですが、ちょっと傷があります。
- バーゲンなので、返品はできません。
- 現品限りの為、お安くなってます。
- 格安ですが賞味期限が近いです。
ものすごく悪く言うと、「格安」「セール」「バーゲン」で誘い込み、本当は売れ残りや訳あり品を処分する。そんな場合に良く使われている手法です。
人のこころの動き
ロー・ボールを受け入れた人の心理は、こんな感じです。
セール品を買った人であれば、それを失敗したと思いたくない。仮に、ちょっと不満があったとしてもそれを認めることへの恥ずかしさや悔しさがあります。一度、受け入れたものに対し、それを否定する事はしがたいと感じるのです。
フット・イン・ザ・ドアとの違い
ロー・ボール・テクニックは、フット・イン・ザ・ドアとやや似ています。
どちらも受け入れやすい要請を最初に提示するからです。
しかし、フット・イン・ザ・ドアでは、より大きな要請をしていくのに対し、ロー・ボールは要請自体は変わらない。ただ、受け手にとって必ずしも特とは言えない要求を付け加えて、結局はのませてしまう。
少し詐欺的要素のある手法ですね。
ネガティブワードはポジティブワードの2倍強力
「人を知る」目的で心理学の学びを深めていました。これらの3つの心理テクニックは、『「心理戦で」絶対に負けない本』(伊東明・内藤誼人共著/アスペクト)で学んだものです。
いずれも自分の主張を通すときや、交渉、セールスの現場で相手より優位に立つために知っておくべき知識といえるでしょう。
レトリック
言葉の使い方ひとつで、人の心理はまったく逆の働きをすることがあります。人の心理というのは面白くて、どれだけ個性や価値観が違ったとしても、似たような動きをします。自己保存が動物としての人間の性質ですから、当然かもしれません。
心理学で、言葉による説得技法を「レトリック」と呼びますが、相手に好ましい印象を持ってもらうのにはある秘訣があります。それは、押し付けないこと。
具体的には、相手に判断をゆだねることです。
主張より、質問
セールスで考えると分かりやすいと思います。
「○○は機能面でも優れていて、コストも安いので、とにかくおススメです!」
というのと、
「○○は機能面でも優れていて、コストも安いのですが、良さそうだなと思いませんか?」
と尋ねられるのと、どちらの印象が良いでしょうか。
あるいは、
「このスキルはあなたの役に立つから、絶対に身につけた方がいいよ!」
というのと、
「このスキルはあなたの役に立つと思いませんか?」
と尋ねられるのと、どちらがやる気になるでしょうか。後者の方が、良い気がしませんか?これらのような言葉の微妙な使い方がレトリックといわれるものです。
人は皆、わがままだ
人間は、自分の思った通りに行動したい。
それが真理です。
それがたとえ完璧に正しいことだとしても、相手の主張を受け入れるより、自分で決定したいのです。
ネガティブワードは、ポジティブワードの2倍以上強い
言葉が人に与える影響は、ネガティブな表現にするか、ポジティブに表現するかで倍以上違います。
心理学者がある実験をしました。
A-①600人のうち、200人の命が絶対に助かる。
B-①600人のうち、3分の1の確率で全員助かる。しかし3分の2の確率で全滅の可能性がある。
あなたならどちらを選びますかという質問です。これには72%の人がA-①を選びました。
では、下記の質問ならどうでしょうか。
A-②600人のうち、400人が絶対に死ぬ。
B-②600人のうち、全員死なない確率が3分の1。しかし全員死ぬ確率は3分の2。
この場合、78%の人がB-②を選んだのだそうです。
A-①とA-②は、まったく同じことを言っています。B-①とB-②も同じです。最初の質問には、Aを選択したのに、次の質問ではBを選択した。
ちょっとした言葉の使い方で、正反対の選択をさせるのがレトリックの力です。
ネガティブワードの強烈さ
人はネガティブワードに敏感なようです。自己保存の本能でしょうか。「絶対に助かる」よりも「絶対に死ぬ」という方が、強烈に印象に残る。そして人は、上記の実験にみるようにネガティブワードを避ける傾向があります。
マイナス面を優先して考え、それを避けようとするのでしょう。
好印象を与えたいならポジティブワード
同様に、ネガティブな情報は、ポジティブな情報の倍以上のインパクトを与えます。たとえ常日頃、信頼を積み重ねても、いったん信頼を失うと取り戻すのに倍以上の労力が必要になるのはそういうこと。人は、ポジティブな情報より、ネガティブな情報を重視するのです。
それまで優しくしてくれたり、労わったりしてくれた記憶よりも、たったひとつの許しがたい嘘で、相手を好きではいられなくなる。人の心理というのは繊細なものです。