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物事を公平に見るために必要なスキルとは何だろうか?
本質を見抜くことだと、私は思います。
2019年に創刊された『FACT FULNESS』は世界中で大ベストセラーとなった名著です。この本は、人類にとってもっとも危険で、過ちを犯しやすい<思い込み>を、極めて建設的な方法で正してくれる。
本質を見抜くために、非常に参考になりますので、ご紹介しますね。
世界はどんどん悪くなっている?
地球史上、これほど人口が増えた時代はありません。
地球が賄える資源は、70億人とする説がありますが、2022年現在、その70億人を突破し、2050年には100億人になることがほぼ確定した事実です。それに加え、海面の水位上昇や、エネルギー問題、戦争、金融崩壊、大きな災害…。
世界を悪くする情報には事欠きません。
しかし、現実は、どうもそうではないらしいのです。
極度の貧困は20年前の半分に
『FACT FULNESS』では、単純なものの、多くの人が間違いやすいクイズが掲載されています。
たとえば、
世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?
A:約2倍になった B:あまり変わっていない C:半分になった
というものです。
著者であるロスリング氏は、世界中の有識者に質問したそうですが、正解率はなんと10%未満。答えは、お察しの通り「C:半分になった」
つまり、90%以上の人が、貧困率は2倍か、変わらないと考えていたのです。環境問題や人権問題の専門家でさえも。
80%の子どもは予防接種を受けることができる
下記のクイズも興味深いものです。
世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子どもはどのくらいいるでしょう?
A:20% B:50% C:80%
答えは、「C:80%」
これもまた、エリートたちがこぞって間違えたクイズです。私自身、学生時代に衝撃を受けた『飢餓で苦しむ人は、4人に1人』というのも、今は正確ではありません。
それは50年も前のデータの話。2015年時点で、10人に1人となっており、年々、その数は減っているのです。
人はネガティブな情報に敏感である
上記は『FACT FULNESS』に掲載されているほんの一部の事例です。
とはいえ、頭の良いエリートや、地球環境や人権の専門家さえも間違ってしまうのは、思い込みによるところが大きい。それはメディアによる影響も否定できません。
「飛行機が1000回連続で無事着陸しました」
ということはニュースになりませんが、
「飛行機不時着で100人以上死亡」
は大きなニュースになります。
それは、人々に、恐怖を植え付ける。たとえ、飛行機事故の確率が0.0009%で、438年間毎日搭乗して1度の確率だったとしても。
正しく、認知することの重要性
戦争、感染症、円安、給料が上がらない中のインフレ、株化暴落…
このところ、悪いニュースが目立ちます。私自身も、例にもれず資産は目減りしました。今後、もっとひどくなることも考えられます。
それでもなお、事実を知れば、慌てることはないと気を落ち着かせることができる。
なぜなら、世界中の人々の暮らしは少しずつ良くなっており、それに伴って経済活動は活性化し、食料の生産性は生産量は上がり続け、人口増加に対応できる環境を整え、世界平均では右肩上がりに成長していくことがわかるからです。
これは、希望ではなく、事実です。
悲観的に備え、楽観的に行動する
強気相場は悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで育ち、楽観とともに成熟し、陶酔のなかで消えてゆく。 悲観の極みは最高の買い時であり、楽観の極みは最高の売り時である。
―――ジョン・テンプルトン
これは、イギリス人の投資家の言葉です。
人はネガティブな情報に敏感です。
世界は分断されていて、どんどん悪くなっており、人口はとどまることなく増えていく。
それは事実とは正反対にも関わらず、思いこんでしまう人が9割以上なのです。つまり今は、悲観の極みに近いのではないか?と思っていて、投資をするなら、今がチャンスと捉えています。
本質は二項対立ではない
俺か、俺意外か。
―――ローランド
とかく、人は、こちら側とあちら側に分けたがります。上記のローランド氏の例を持ち出すまでもなく、敵か味方か。先進国か、後進国か。金持ちか、貧乏か。
対立させると、物語は面白くなりますが、それは本質ではありません。
『FACT FULNESS』を読むと、大きな反省をもって、そう感じます。
事実、今や、先進国、後進国の区別は、難しい。当然、金持ちと貧乏の差は大きく、隔たりはありますが、世界の80%がその真ん中にいるということをこの本は教えてくれました。
事実を知る
下記に、『FACT FULNESS』で公開されている興味深いデータをまとめました。
- 合法的な奴隷制度 1800年:193か国 ⇒ 2017年:3か国
- 戦争や紛争の犠牲者 1942年:201人/10万人 ⇒ 1人/10万人
- 飢餓 1970年:28%/世界人口 ⇒ 2015年:11%/世界人口
- 大気汚染 1970年:38kg/1人あたり ⇒ 2015年:14kg/1人あたり
- 災害による死者数 1930年代:97.1万人/10年平均 ⇒ 2010年代:7.2万人/10年平均
上記は<減り続けている悪いこと>ですが、<増え続けている良いこと>もあります。
- 自然保護 1900年:0.03% ⇒ 2016年:14.7%
- 農作物の収穫 1961年:1.4万kg/ha ⇒ 4万kg/ha
- 女性参政権 1893年:1/195か国 ⇒ 2017年:194/195か国
- 絶滅危惧種の保全 1959年:34種 ⇒ 2017年:8万7967種
もちろん、楽観できることばかりではありませんが、少なくとも悲観的になりすぎることはない。正しく、理解することで、不要な恐怖、不安を抱かずにすみますよね。