※この記事にはプロモーションが含まれています
マーケティングは、もっとも端的に10文字以内で表すなら「売れる仕組みづくり」と思っています。
P・F・ドラッカー氏は「販売を不要にする」と言いました。
日本は1994年頃から今に至るまで、デフレに悩まされていますが、その需要不足の中、ものが売れるようにするスキルとして、マーケティング能力は日本を救う可能性を秘めています。
まあ社会全体の需要不足はいちマーケターが解決できることではありませんが、少なくとも今夜のワインを少し上等なものにしたり、親を旅行に連れて行ったり、はたまた困っている人のために寄付したり。
そうした些細だけど人生を豊かにする経済活動に貢献することはできます。
たとえば、思うように売れないものを売れるようにすることによって。
「売りたいもの」を「売れるもの」にする4つの質問
マーケティングが素晴らしいのは、どんな商品もそれなりに売れるように道を作れることです。
常識的に誰も欲しないものは別にして、思うように売れない商品でも、以下の4つの質問をすれば売れるようにすることは難しくありません。
その4つの質問とは。
❶その商品を20秒以内で説明しただけで「なんとか売ってくれないか」と頼み込んでくるようなお客さんは、どんなお客さんか?
❷なぜ、その商品はお客さんの悩みを簡単に、短時間で解決できるのか?
❸❷を聞いたとたん、お客さんはどんな疑いをもつか?
❹❸の猜疑心を吹き飛ばす、具体的・圧倒的な証拠は?
予めお断りしておきますが、これは神田昌典氏の受け売りです。
この質問で導き出す答えは、「売りたいもの」と「買いたいもの」のマッチング。
売れるようにするためには、そこをチューニングしてあげないといけません。
餌にしかならなかった魚が超人気商品に成長した事例
実例をご紹介します。
国内ではまだまだ、名前の知られていない魚がたくさん水揚げされています。
日本列島周辺の海と川では、約3800種類いるといわれていますから、当然でしょう。
ある漁港では、大量に水揚げがあるのに1キロ10円にもならない魚がありました。
そのほとんどは、水族館や動物の餌として固めて冷凍され、一般には流通しなかったのです。
漁師さんや漁港関係者は、持って帰って食べることもしませんでした。
「こんな魚、売れるわけない」と思い込んでいたんです。
1.「なんとか売ってくれないか」と頼み込んでくるお客さんとは?
そこで、一つ目の質問。
その商品を20秒以内で説明しただけで「なんとか売ってくれないか」と頼み込んでくるようなお客さんは、どんなお客さんか?
知名度ゼロの魚だけど、食べればあっさりとして美味しい。
そして、めちゃくちゃ安い。
これなら500円のランチ定食で出しても、2割の原価率で抑えることができる。
価格競争で疲弊している飲食店の店主なら、喉から手が出るほど欲しい商品ではないか?と仮定します。
2.なぜ、それは悩みを解決できるのか?
次に2つ目の質問です。
なぜ、その商品はお客さんの悩みを簡単に、短時間で解決できるのか?
安くしなければお客さんに来てもらえない飲食店の店主の立場になると、コンビニなどで買える弁当などより美味しくなければ、どんなに安くても商品価値は低くなります。
かといって、良い食材は収益を圧迫するので仕入れることができません。
つまり、美味しい料理を安く提供したいが、素材をよくすれば利益が出ず、悪くすれば評判を落とし、かといって高く提供すればお客さんは来ない。
実際、そうやって働いても働いても儲からない体質になっている飲食店は相当数いるはずです。
そんな飲食店の店主にとって、安く提供しても顧客満足が高く、利益の出る商品ならこれ以上うれしいことはありません。
3.どんな疑いをもつか?
3つ目の質問に移ります。
それを聞いたとたん、お客さんはどんな疑いをもつか?
この場合、安く提供しても顧客満足が高く、利益の出る商品なんてこの時勢にあるのだろうか?ということです。
なぜそんなに安いんだろう?
鮮度が極端に悪いんじゃないか?
身体に害はないのか?
放射線量が基準値を超えてたりするのでは?
そもそも本当に美味しいのか?
小骨が多かったり、クセが強かったり、下処理に手間がかかるんじゃないのか?
などなど、ここではあらゆる疑問をいくつも具体的に思い浮かべることが重要です。
4.具体的・圧倒的な証拠は?
そして4つ目の質問。
その猜疑心を吹き飛ばす、具体的・圧倒的な証拠は?
これまで一般に流通しなかったのは、あまりにも大量に水揚げされており、知名度もなく買い手がつかないため、値段がつかなかった。
また、鮮度落ちしやすく、流通の過程で傷みやすかった。
しかし冷凍技術の発達した今、水揚げ後すぐに急速冷凍できれば鮮度は変わらないばかりか、冷凍技術が良いので、品質も生とそん色ないレベルに仕上げることができる。
そして骨は柔らかく、調べてみるとプランクトンを主食としている為、丸ごと天ぷらや唐揚げにするなら全く処理せずに調理できる。
しかも、淡白で上品で、内臓ごと食べるとほのかな苦みがまた、美味しい。
放射線量の検査をしたところ、基準値を大きく下回り、安全であることが確認された。
つまりこの魚は、知名度は低いが、ランチ定食で提供しても2割の原価率に押さえることが出来るばかりか、非常に鮮度良く、美味しく、仕込みにもまったく手間のかからない最高の食材なわけです。
お客さんの「痛み」と商品の「強み」
商品開発とは本来、お客さんの「痛み」からスタートするべきだと思います。
ですが、商品の「強み」から入っている商品が市場には多い。
それもモノが売れない一因じゃないかな、と思うのですが、このようにお客さんの「痛み」と商品の「強み」をチューニングしていくと、それまで売れなかった商品も必ず売れるようになっていきます。
売れないとすれば、そもそもお客さんの需要を満たす要素がひとつもなく、マーケットがゼロであるか、お客さんの「痛み」を理解していないかでしょう。
なぜタイトルで<「売れないもの」を「売れるもの」にする方法>ではなく、<「売りたいもの」を「売れるもの」にする方法>としたのかといえば、あらゆる商品はお客さんの問題を解決してこそ存在価値があり、そのために生まれた商品が「売れないもの」であるはずはないからです。
理想かもしれませんが、「売りたい」と思えるものでないと、思考も深く入っていきませんし、お客さんの立場にたって「痛み」を理解するレベルも浅くなると思うのです。