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野球ファンならいざ知らず、北海道日本ハムファイターズの谷内亮太選手を知る人は多くないと思います。
2021年8月現在、プロ9年目。
通算300試合出場しているが、定着したレギュラーではない。
目立った活躍もなく、出場機会は守備固めの途中出場がほとんど。
先発出場は少ない。
それでも、日本ハムファイターズの栗山監督は「内野を全部、完璧にできる選手は初めて見た」と絶賛します。
「ポジションを1つや2つならできる選手はいるし、いたけれどさ。いないよ、あんな選手は・・・」
谷内選手に学ぶリスクマネジメント
日本ハムファイターズ栗山監督のもとで、谷内選手は常に1軍でスタンバイしています。
主力選手が、2軍落ちする中、試合に出ることはなくても、1軍にいる。
北海道日本ハムに入団して3年。
その間、失策はゼロ。
守備ミスが多いメンバーの中で、栗山監督の信頼はあついのも頷けます。
強みは、どこでも守れる内野手
セカンド、ショート、ファースト、サード。
すべての守備を完璧にできる。
ただ、打つ方は弱い。
出場機会は守備固めの途中出場が多いから、多くをベンチで過ごす。
でも、谷内選手は自身の強みと、どういう場面で起用されるのか、そしてどんな役割を担い、期待されているのか、誰よりも理解している。
求められたとき、いつも準備できている
谷内選手はベンチから戦況を見ながら、こう考えています。
このタイミングなら仕掛けてきそうとか、この流れだとこのポジションが交代でとか……。仕掛ける時を、考えています。
自身が起用されそうな場面の先読みをいつもしているんだそうです。
そして、誰に言われるでもなく、自分の意思で体を温め始める。
コーチに『谷内、次いくぞ』と言われた時に『はい』と答えられるように。
「求められた時に、準備ができていることが理想」
谷内選手の哲学です。
謙虚さこそ、勝ち続ける秘訣
谷内選手は、華やかな野球選手のイメージとは真逆の選手です。
一発逆転で、局面打開を期待される選手ではなく、代走で相手をかき回す役割でもありません。
プロなら、できて当たり前とされる守備固め。
谷内選手自身、こう語っています。
正直、僕がいなくても困らないと思う。いたら助かるな、というくらい。ただ試合に出させてもらっているからには、期待には応えたい。
絶対やってはいけないのはミスをしないこと。
できたからといって、ほめられるわけではない。
でも、万が一ミスをしたら、罵声を浴びせられるだろう。
それが谷内選手の役割となりました。
謙虚さが体に染みついている
そんな谷内選手は、日常生活の過ごし方が野球に影響すると考えているそうです。
たとえば、道端に落ちているゴミが目に入れば、ひろってゴミ箱へ。
飛行機や新幹線の移動の際に隣の席が埋まっていれば、ひじ掛けは使わない。
「日常生活は、野球に影響すると思っています」
ユニホームを脱いでも<謙虚>を貫くことが、習慣になっているそうです。
華々しく活躍するよりも、地味に長く選手生活を送る
そんな谷内選手もかつては、レギュラーや先発にこだわっていた時期もあったそうです。
元はヤクルトスワローズに、2012年のドラフト6位で入団。
その前は、国学院大で主将も務め、即戦力と期待されていました。
すぐに1軍に抜てきされたものの、プロのレベルの高さに圧倒され、ついていくことができず2軍落ち。
そして2018年に、トレードで北海道日本ハムファイターズへ。
どうしたら、プロで生き残っていけるか?
谷内選手は、言います。
ザ・プロ野球選手というような選手を見ていると、うらやましいなと思ったりもします。でも、僕はそうはできない。最初から試合に出ることが、ほぼないですしね。セットアッパーとか、クローザーとかと一緒。自分の成績だけではないですから。
行きついた先が、今の姿。
いつなんどき呼ばれても、守備では絶対にミスをしない。
それが、谷内選手にとってのプロ意識。
プロ野球選手だったら、本気を出せば僕のようなことはできるとは思います。だから、やっていることはそれほどでもない、過大評価されているところはある。
絶対に失敗しない。
そんな強烈な強みを「謙虚にやることだけ」と、ひたすら伸ばし続けてきました。
今後も、スター選手になることはないかもしれない。
でも、華々しく活躍して短命に終わる選手よりは、地味でも長く選手生活を続けることができる。
勝つべからざるはおのれに在るも、勝つべきは敵に在り
孫子の『兵法』には、こうあります。
先ず勝つべからざるをなして、もって敵の勝つべきを待つ。勝つべからざるはおのれに在るも、勝つべきは敵に在り。故に善く戦う者は、よく勝つべからざるをなすも、敵をして勝つべからしむることあたわず。
まず、誰にも負けないような環境を整えた上で、相手が弱体化して、うち勝てるようになるまで待つ。負けない態勢を整えるのは自分でできることだが、相手のことはこちらがどうこうできるものではない。
ひたすら、負けないためにリスク管理すること。
それが谷内選手の戦略です。
つまり、リスクマネジメントは<謙虚さ>にある。