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「うちには強みがない」は、たいてい思い込みです。
最近は、ホームページを何社か開いて見比べるだけでなく、ChatGPTやGeminiに「近くでおすすめの工務店は?」と聞いて、候補を挙げてもらう人も出てきましたね。
並べて比べられる場面が増えるほど、「で、ほかと何が違うの?」に答えられない会社は、候補に残りにくくなると僕は感じています。
いわゆるUSP(Unique Selling Proposition)とは、独自の強みのことですが、もっと具体的にいうと「顧客に対して自社だけが約束できる利益」を指します。
ホームページ制作においても、事業構築においても、USPを明確にすることは欠かせません。
WEB制作する際、クライアント様の持てる資産の中からUSPをひねり出すとき、まず考えることは7つあります。
この記事では、その7つの型を、スモールビジネスで使うときの例と注意点つきで紹介します。そのあとで、型の組み合わせ方、判断軸をずらして価格競争から抜けた会社の実例、自分でUSPを見つけるための聞き取りの手順まで書いていきます。
独自の強みを生み出す7つの手法
無理やり型にはめてみることで、思いもよらぬUSPが生まれたりします。
その型をご紹介しましょう。
- 大幅値引き、〇〇し放題
- 突出した利便性
- サービスが圧倒的
- 代替手段
- オーダーメイド
- お客様の声が圧倒的
- 保証が圧倒的
それぞれ、簡単にご紹介しますね。
あわせて、スモールビジネスで使うときの例と、気をつけたいところも書いておきます。
大幅値引き、〇〇し放題
価格が安い、ということは極めて分かりやすい特徴です。
誰でも考えつくことではありますが商品で差別化しづらい場合、効果は絶大。
もし、安くできる理由がはっきりとしており、競合他社が●●し放題など、価格訴求のプランを提案していなければチャンスはあります。
ポイントは、安い理由をセットで伝えること。
また、業界の利益構造で、ユーザーにとっては不利益な場合はかなり強い訴求になります。
シナリオライティング(読む人の気持ちの流れに合わせて、話す順番を組み立てる書き方)のスキルが必須ですが、それを暴露することで共感を得て、申し込みにつながりやすくなります。
安くできる理由は、スモールビジネスなら意外と身近にあります。
たとえば、店舗を持たずに出張だけで回している整体院なら、家賃がかからないぶんを料金に回せます。メニューを3つに絞った美容室なら、仕入れや練習の手間が減ったぶん、値段を下げられます。
〇〇し放題も、大きな会社だけのものではありません。月々の顧問料の中で、相談は何回でも受ける税理士事務所。月額の中で、文章や写真の差し替えは何度でも引き受ける制作会社。お客さんが「回数を気にしなくていい」と思えること自体が、選ぶ理由になります。
ただし、気をつけたいことがあります。値段だけを下げると、もっと安いところが出てきた時点で、選ばれる理由がなくなります。
それに、値下げを続ける勝負は、仕入れの量も人手も多い大手のほうが、ずっと長く続けられます。
この型を使うなら、値段そのものより「なぜこの値段でできるのか」という仕組みのほうをUSPにする、と考えてください。値段は一晩で変えられても、仕組みは一晩では真似できないからです。
利便性
利便性は、実は気合で作れます。
24時間対応サービス、夜間サービス、速達、などです。
どこを探しても独自の強みが見つからないなら、自らの労働力や時間を投入するのもひとつでしょう。
特に有効なのは、薬局、病院、不動産、美容室、など夜間対応、24時間対応していない分野。
飲食店を運営していると、拘束時間が長いので深夜でも髪を切ってくれる専門の美容師がいたら良いのにな・・・と思ったことがあります。
成り立つかどうかの調査は必要ですが、他社より明らかに利便性がよければ、それだけでUSPになります。
利便性は、営業時間のことだけではありません。
お客さんが動く距離(来てもらう代わりに、こちらから伺う)、手間(必要な書類は全部こちらでそろえる)、待つ時間(見積もりはその場で出す)。どれを短くしても、利便性になります。
たとえば工務店が「見積もりは、現地を見たその日のうちに出します」と決めるだけでも、何社かに見積もりを頼んでいるお客さんにとっては、はっきりした違いになります。
気をつけたいのは、気合で作れるぶん、無理をすると続かないことです。
夜遅くまで受け付けると決める前に、これまでの問い合わせが何時ごろに来ているかを数えてみてください。その時間に本当に頼みたい人がいるのか、自分の体力で何年続けられるのか。ここだけは、始める前に確かめておきたいところです。
サービスが圧倒的
上記と通ずるところはありますが、たとえば、24時間相談OK、アフターフォローが他社を圧倒している、対応が超早いなど、これも気合いひとつで作ることが可能です。
運送業界は、その競争でしたよね。
アマゾンはついに、当日到着を実現しました。
飲食店サービスでも、対応が早ければめちゃめちゃ快適じゃないですか。
それを人員配置や仕組み、教育によって徹底させることができれば、強みになります。
スモールビジネスは、この型で大手に勝ちやすい立場にいます。社長と直接やり取りできる。決めるのが早い。お客さんひとりひとりに深く関われる。どれも、大手が人数をかけても真似しにくいところです。
僕自身、お付き合いのあるクライアントからよく言われるのは、返信の速さです。返事を待つあいだの「今どうなっているんだろう」という不安が小さいほど、お客さんとの信頼は積み上がりやすい、と僕は考えています。
ただ、「丁寧な対応」「アフターフォロー万全」と書くだけでは、USPにはなりません。同じ言葉が、どの会社のホームページにも並んでいるからです。
「お問い合わせには、営業時間内なら1時間以内に返信します」「工事のあと、1か月・半年・1年の3回、点検に伺います」。このように、数字と中身で書くと、読む人がほかと比べられるようになります。
代替手段
代替手段は、考え方の切り口を変えるときに有効です。
たとえば、年に何回かしか使わないものを購入してもらうのでなく、レンタルにする。
これまで店舗に訪れなければ出来なかったことを、オンラインで完結させる。
他の業種・業界では当たり前でも、自社のまわりでは浸透していない場合、有効です。
スモールビジネスで考えやすいのは、次のような置き換えです。
- 買ってもらう代わりに、借りてもらう
- 来てもらう代わりに、こちらから伺う
- 会って話す代わりに、オンラインで済ませる
- 全部を引き受ける代わりに、いちばん面倒な部分だけを引き受ける
たとえば、着付け教室が、生徒さんの家に伺う形にする。庭の手入れを、木1本からでも頼めるようにする。どちらも、ほかの業界ではもう当たり前になっている「出張」や「少しだけ頼める」を、持ってきただけです。
気をつけたいのは、置き換えるのは、お客さんが面倒に感じているところだけにする、ということです。
たとえば、洋服の仕立て屋さんが注文を全部オンラインにしたら、店で生地に触れて選ぶのを楽しみにしていたお客さんは離れていきます。お客さんが楽しみにしている部分まで置き換えると、便利になっても選ばれなくなります。
オーダーメイド
個人であれこれ調べて調達するのがたいへんなことを好みに合わせて完全代行できないか?
と考えてみます。
ニトリでは、部屋のイメージに合わせた内装モデルが、フロアの一角にあったりしますが、ソファやカーペット、食器棚など、それぞれバラバラに売られているものを組み合わせてくれると助かりますよね。
それをもっと、顧客の好みや要望に合わせてオーダーメイドできればそれだけでビジネスになるなと思ってました。
スモールビジネスのオーダーメイドは、ゼロから作ることだけを指すわけではありません。すでにあるものの中から、その人に合うものを選んで組み合わせる。それだけでも、お客さんの手間は大きく減ります。
たとえば、花屋が、贈る相手の年齢と好きな色を聞いてから花束を組む。ギフトショップが、渡す相手と予算を聞いてから詰め合わせを選ぶ。お客さんは、何十種類も見比べる手間から解放されます。
気をつけたいのは、手間がかかるぶん、注文が増えるほど苦しくなることです。
どこまでを相手に合わせて、どこからを決まった形にするのか。先に線を引いておくと、無理なく続けられます。花束なら、色と大きさは選んでもらい、組み方はお店に任せてもらう、という具合です。
お客様の声が圧倒的
競合他社のホームページでは、お客様の声が3件しかないところへ、100件載せられれば最強のUSPになります。
既存事業の場合、普段からコツコツ丁寧にためておくと、かならず活用できる日が来るのでクライアント様にはお付き合いが始まったときから、おすすめしております。
特に、顧客へ聞いておくと良いことは次の4つ。
- あなたは、今までどんな悩みがありましたか?
- なぜ、数ある中から当社に決めていただけたのですか?
- (当社の商品・サービスを)導入後に、どう変わりましたか?
- 現在の状況はどうですか?
この4つの質問から得られた回答は、自社独自の強みを発見するだけにとどまりません。
商品・サービスの改善や、ビジネスチャンスが見つかったりします。
なかでも2つ目の答えは、そのままUSPの候補になります。お客さんが、ほかと比べたうえで選んだ理由だからです。
聞くタイミングは、納品や施術が終わってすぐ、喜んでもらえているときがいちばんです。時間がたつほど、お客さんの記憶も、うれしかった気持ちも薄れていきます。
もらった声は、言い回しを整えすぎないようにします。
整えすぎた声:スタッフの方の対応も丁寧で、大変満足しています。
そのままの声:見積もりだけのつもりで電話したのに、売り込まれなくてほっとしました。
どちらも例ですが、2つ目のほうが、まだ迷っている人の不安に、そのまま答えています。読む人が自分と重ねられるのは、こういう声です。
保証が圧倒的
1か月以内なら全額返金、10年間保証、など競合他社を圧倒する保証をつけるだけでも強みとなります。
ただし、競合他社に真似されればUSPにならないので、できる限り自社しかできない裏の仕組みを考えたいところです。
全額返金でも、リスクが大きいと他社が判断すれば、真似されにくいはずです。
そのリスクを分散、あるいはなくすことができないか、考えるのです。
スモールビジネスで保証を考えるときは、まず「何を保証するか」から決めます。お金を返すことだけが、保証ではありません。
- 仕上がりに納得できなければ、もう一度やり直す
- 約束の日に間に合わなければ、料金をいただかない
- 工事や納品のあと、決まった時期に様子を見に行く
選ぶ基準は、お客さんがいちばん怖がっていることです。それは、さきほどの「お客様の声」で集めた悩みの中に、だいたい書いてあります。
そして、保証をつけるなら、条件を先に書いておきます。どんな場合に、いつまでに、何をするのか。ここがあいまいなままだと、守れなかったときに、それまで積み上げた信用まで失います。
USP(独自の強み)は作れる!
クライアント様と勝てるホームページ作りのためのヒアリングをしていると、USPについて、このように相談されることがあります。
- なかなか差別化できない業態なんです・・・
- 提供している商品・サービスは同じなので、独自の強みはありません。
- 立ち上げたばかりで実績もなく、負けてる要素ばかりなのですが・・・
ですが、上記の7つの型に無理やりはめてみると、意外と作れたりします。
もちろん1つの型にとらわれることはありません。
2つ、3つと組み合わせることができますし、より効果的になるでしょう。
また、ターゲットやエリアの絞り方や、顧客がその商品・サービスを選ぶ時の判断軸をほんの少しずらすだけでも、USPはひねり出すことができます。
そのために、クライアント様にはかなり深いところまでヒアリングをしています。
「立ち上げたばかりで実績がない」という場合も、あきらめなくて大丈夫です。実績の数で勝負できないなら、利便性やサービス、保証のように、今日から自分で決められる型から始めればいいからです。
7つの型は、2つ3つ重ねると真似されにくくなる


1つの型だけのUSPは、真似されやすい
1つの型だけで作ったUSPには、弱点があります。真似されやすいことです。
値下げは、ほかの店も翌月には追いつけます。「夜9時まで受付」も、人を増やせばどこでも始められます。
ところが、型を2つ3つ重ねると、話が変わります。1つ1つはありふれていても、全部を同じ形でそろえられる会社は、なかなか出てこないからです。
駅前のクリーニング店で考えると、分かりやすいと思います。朝7時から開いている店も、ワイシャツが安い店も、珍しくはありません。
でも、朝7時から開いていて、ワイシャツが安くて、しかも当日の夕方には仕上がる店が1軒だけなら、毎朝出勤前に寄る会社員は、迷わずそこを選びます。
組み合わせの例を、いくつか挙げておきます。どれも、たとえばの話です。
出張専門の整体院:「こちらから伺う」(代替手段)と「夜9時まで受け付ける」(利便性)を重ねて、仕事と子育てで通う時間がない人のための整体院に。
外壁塗装店:「塗り替えのあと10年、毎年点検に伺う」(保証)と「同じ市内の施工例とお客様の声を1件ずつ公開する」(お客様の声)を重ねて、近所で頼んだ人の声が読める塗装店に。
ギフトショップ:「渡す相手と予算を聞いて選ぶ」(オーダーメイド)と「前日の夕方まで受付・翌朝お届け」(サービス)を重ねて、明日の手土産を相手に合わせて今日決められる店に。
重ねるときは、同じお客さんの同じ悩みに向ける
重ねるときのコツは、同じお客さんの、同じ悩みに向けて重ねることです。
夜遅くまで開けることと、高い素材だけを使うことは、それぞれ立派な強みです。でも、向いているお客さんが別々なら、1つのUSPにはまとまりません。読む人には、どちらの話も自分のことに聞こえなくなります。
上の整体院なら、「通う時間がない」という1つの悩みに、来てもらう代わりに伺うことと、夜まで受け付けることの両方が向いています。
誰の、どんな悩みを解くための組み合わせなのか。そこがはっきりしていれば、2つでも3つでも重ねられます。
判断軸をずらした実例|愛媛県宇和島市のこもこもShopさん


先ほど、顧客が選ぶときの判断軸をほんの少しずらすだけでも、USPはひねり出せると書きました。実際にお手伝いした例を1つ紹介します。
愛媛県宇和島市の株式会社こもこもShopさんは、海で魚を育てる養殖をしながら、育てた魚を一尾まるごとネットで販売し、漁場での餌やり体験や釣り体験も受け付けている会社です。2023年の7月から、ホームページを一から作るところでお手伝いしてきました。
値段では、天然物に勝てない
聞き取りで最初にお願いしたのは、こもこもShopさんの事業を引っ張ってこられた福島さんご自身の棚卸しでした。これまでの仕事や経験を、さかのぼって振り返ってもらう作業です。
福島さんは対談で、最初の質問が自分自身のことだったのにまず驚いた、と振り返っています。そのおかげで、自分でも気づいていなかった強みが見つかった、とも話してくれました。
競合も一緒に調べました。値段だけを比べると、こもこもShopさんより安く売っているところは意外とあります。しかも養殖の魚なので、値段では天然物にまず勝てません。
そこで、比べてもらう基準のほうを変えました。
手でエサをやりながら、一尾ずつ様子を見て育てていること。品質を徹底して管理していること。そして、養殖ならではの安心です。
天然のブリなどに多い寄生虫のアニサキスが、福島さんが育てているブリには、99.9%寄生しません。
値段で比べられたら勝てない。でも、安心して買える理由で比べてもらえれば勝てる。福島さんとのやり取りの中で、戦い方の軸がはっきりしていきました。
この記事の言い方でいえば、お客さんが選ぶときの判断軸を、「値段」から「安心して買えるかどうか」へずらした、ということです。
こだわりの理由を、企業理念のページで先に伝えた
ずらしたものは、もう1つあります。
こもこもShopさんには、こだわりがあるからこそ、お客さんの希望に応えられないことがあります。「下処理をしてほしい」「日時の指定を、もっと先まで受けてほしい」という声です。
福島さんたちはそのたびに、あえて下処理をしない理由や、養殖の魚はエサを食べて大きくなるので、先の日時までは指定を受けられないことを、説明してきました。
そして途中から、企業理念のページを作って公開しました。こもこもShopさんが何を大事にしているのかを、ホームページで先に読んでもらえるようにしたわけです。
そのページを公開したこともあって、今では「ホームページを見て、御社の考え方に共感しました」「安心してお願いできそうです」と言ってくださるお客さんが増えた、と福島さんは話しています。価格競争ではなく、信頼をもとにした注文が増えたそうです。
すごいですよね。下処理をしない、先の日時は指定できない。ふつうに見れば弱みに見えることが、理由と一緒に先に伝えたことで、選ばれる理由に変わっていったんです。
福島さんご自身も、理念やこだわりを言葉にしたことで、価値観の合うお客さんが集まるようになったのだと思う、と振り返っています。
もし、ほかの通販と同じように、値段の安さを前に出すホームページにしていたら、天然物や大きな通販サイトと並べられて、値段だけで比べられていたと思います。
福島さんは、ホームページ作りについて、こう話してくれました。
ホームページを作るのって会社のこれからの未来ビジョンをどうしたいかを形にすることと同じ
何が言いたいかというと、USPは、商品の性能や値段の中だけにあるものではない、ということです。どんな考えで、どこに向かって仕事をしているのか。それも、ほかの会社が同じ形では持てない強みになります。
7つの型で見つけた強みも、最後にこの考え方とつながっていると、さらに真似されにくくなります。
愛媛県宇和島市の養殖魚の通販、こもこもShopの福島さんとの対談は、動画でも見られます。
自社のUSPを見つける聞き取りの手順
ここまで読んで、「それでも、うちには何もない」と感じている方もいると思います。
それで普通です。僕はこれまで400件以上のホームページの制作・支援に関わってきましたが、自社の強みを、聞き取りもなしに分かりやすく言葉にできた経営者には、まだ会ったことがありません。
毎日その仕事をしている本人には、当たり前すぎて、強みに見えないんです。自分の家のにおいに、住んでいる本人だけが気づかないのと似ています。
僕がクライアントと進めている順番を、ひとりでもできる形にして書いておきます。
- 自分のこれまでを棚卸しする
- お客さんの悩みを、お客さんの言葉で書き出す
- その悩みを解く形で、自社の特徴を箇条書きにする
- 競合と並べて、7つの型に当てはめる
1. 自分のこれまでを棚卸しする
最初は、会社のことではなく、社長ご自身のことから始めます。どんな子ども時代を過ごし、どんな仕事をしてきて、どこでつまずき、何を大事にしてきたのか。
遠回りに見えますが、事業の強みは、商品やサービスの外にあることが多いんです。経営者自身の経験や価値観から生まれていることが、よくあります。
こもこもShopさんの場合も、海で働く毎日の中で積み重ねてきた経験そのものが、ほかにない強みになっていました。
頭の中だけで振り返ると、いつも同じ話に戻ってしまいます。紙に書き出すのがおすすめです。
2. お客さんの悩みを、お客さんの言葉で書き出す
次は、お客さんの側です。困っていること、不安に思っていること、不満に感じていること、そして「こうなりたい」と思っていること。
ここで大事なのは、業界の言葉に置き換えないことです。「施工後の不具合が心配」ではなく、「頼んだあとで雨漏りしたら、また来てくれるのかな」。お客さんが実際に口にする言い方で書きます。
先ほどの「顧客に聞いておくべき4つのこと」の1つ目の答えが、ここでそのまま使えます。
3. その悩みを解く形で、自社の特徴を箇条書きにする
2で書き出した悩みの1つ1つに、「それなら、うちはこうしている」を書いていきます。小学生が読んでも分かるくらい、短く書くのがコツです。
書けたら、1つずつに「だから、お客さんにとって何がいいの?」と聞き返してみてください。
答えられないものは、まだ自社の都合で書いた特徴です。答えられたものだけが、冒頭で書いた「顧客に対して自社だけが約束できる利益」の候補になります。
4. 競合と並べて、7つの型に当てはめる
最後に、同じ地域で、同じくらいの値段で同じ仕事をしている会社のホームページを、並べて見比べます。
見るのは、デザインより中身です。どの会社も書いていることは、USPにはなりません。どの会社も書いていないのに、2と3で出てきたものがあれば、そこが候補です。
競合のクチコミも読んでください。お客さんがその会社を選んだ理由と、不満に感じたことの両方が、そこに書いてあります。競合のお客さんが不満に感じていることを、自社が当たり前にやっているなら、それはもう立派なUSPです。
そのうえで、残った候補を、7つの型に1つずつ当てはめていきます。値引きにできないか、利便性にできないか、保証にできないか。1つの型にはまらなければ、2つを重ねてみる。タイトルの「無理やりひねり出す」は、この作業のことです。
手順は4つだけですが、時間がかかるのは1と2です。ここを急ぐと、3と4で出てくるものが、どこかで見た言葉ばかりになります。
まとめ|USPは、型と聞き取りで作れる
- 7つの型(値引き・利便性・サービス・代替手段・オーダーメイド・お客様の声・保証)に自社を無理やり当てはめてみると、強みの候補が出てくる
- 1つの型は真似されやすい。同じお客さんの同じ悩みに向けて2つ3つ重ねると、真似されにくくなる
- 強みは、本人ほど気づきにくい。棚卸し、お客さんの悩み、自社の特徴、競合との比較の順で探す
愛媛県宇和島市のこもこもShopさんは、値段では天然物に勝てないところから、育て方と安心で比べてもらう形に変えました。企業理念のページを公開したこともあって、今では「考え方に共感しました」と言って選んでくれるお客さんが増え、福島さんいわく、価格競争ではなく信頼をもとにした注文が増えています。
数字も1つ書いておきます。こもこもShopさんのネットショップ(https://comocomo-shop.com/)は、ぞろ屋で作り、最初のInstagramの設計と支援もしました。そのネットショップの売上は、2025年9月から2026年8月までの1年で、その前の1年の2倍になっています。
伸びたのは公開からしばらくたってからの1年で、福島さんたちが日々の発信と魚づくりを続けてきた積み重ねも大きいと思います。
まず手をつけるなら、最近のお客さん3人に「なぜ、数ある中からうちに決めてくれたんですか?」と聞いてみてください。返ってきた言葉を、7つの型の横に並べてみる。自分では思ってもみなかった答えが、たぶん1つは返ってきます。
USPを作るのは、ホームページのデザインを決めるより、ずっと手間がかかります。自分のこれまでを振り返るのも、競合のクチコミを読み込むのも、楽しい作業ばかりではありません。
それでも、値段以外で選ばれる理由を言葉にできた会社は、値下げの競争に巻き込まれずに済む、と僕は考えています。
4つ目の手順で競合と並べるときは、自社と競合の立ち位置を1枚の図にしてみると、競合がまだ打ち出していない強みが見えやすくなります。自社の情報と競合のホームページのURLを入れるだけで、その図を作ってくれる「ポジショニングマップ生成AI」を、無料でお渡ししています。公式LINEに登録して「マップ」と送ってください。
なお、USPのより効果的な表現方法については下記を参照ください。


ご参考になれば幸いです。
出典
- 株式会社こもこもShop 福島さんとの対談(https://youtu.be/zu_OokfDdGU)
