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SNSで覚えてもらえるのは、色や写真ではなく、一文です。
最近は、会社やお店がX(旧Twitter)やInstagram(インスタ)のアカウントを持つのが、すっかり当たり前になりましたね。
始めてはみたものの、何を投稿すればいいのか迷う。続けているのに、フォローしてくれる人がなかなか増えない。そんな声を、僕もよく耳にします。
SNSやインスタのブランディングと聞くと、投稿の色をそろえる、ロゴを作る、写真の雰囲気を統一する、といった話を思い浮かべる方が多いと思います。どれも大事なことです。ただ、その前に決めておくことがあります。
あなたの会社が、誰の、どんな悩みを片づけるのか。それを一文にしたものが、コンセプトです。
ブランディングは、「この悩みなら、あの会社」と思い出してもらえるようにすることです。思い出してもらうには、まず何の会社なのかを、一文で言えることが先になります。
ホームページでもSNSでも、伝わる会社と伝わらない会社を分けているのは、たいていこの一文だと僕は考えています。
この記事では、SNSのコンセプトを、見込み客(これからお客さんになるかもしれない人)の「痛み」と、市場の「空白」のかけ合わせで決める考え方と、4つの手順をまとめます。僕自身の肩書きの決め方と、講座の受講生の例も紹介します。
ビジネスのSNS構築で、最初に決めるのはコンセプト
会社のSNSには、手間がかかり、成果が求められる
いまはどんな業種でも、SNSでお客さんを集めたり、関係を深めたりできるようになりました。
個人の趣味なら、プロフィールなんて好きに書いて構いません。
でも、会社やお店のSNSは違います。ネタを考え、写真を撮り、文章を書く。毎日かなりの手間と時間がかかります。
手間をかける以上、一定の成果が求められます。
がんばったのに無駄だった、続けているのに何も変わらない。それでは商売になりません。
成果を出すには、まず何のためにやるかを決めること。その出発点になるのが、コンセプトです。
SNSは、気になる情報を受け取っては流していく場所
SNSは、毎日のように開いて人とやりとりしながら情報を受け取る場所です。
興味のある話題を次々に眺めては、どんどん流していく。画面を指でスクロールしながら、気になったものにしか手を止めません。
だから会社側は、見込み客の悩みや不安を解決できる存在として、くり返し発信し続けないと手を止めてもらえないんです。
フォローは、カーラジオのボタンに局を登録するのと似ている
車のラジオには、よく聞く局を登録しておけるボタンがありますよね。
登録するのは、何が流れるか分かっている局です。朝は道路の混み具合を教えてくれる。夕方は野球の中継をしている。
分かっているから、迷わずボタンを押せます。何が流れてくるか分からない局を、わざわざ登録する人はいません。
SNSのフォローも、これとよく似ています。フォローしてもらえるのは、この先どんな投稿が流れてくるのかが、見る前から分かるアカウントです。
それを伝えるのが、プロフィールの1行目に書くコンセプトです。インスタのコンセプトも、Xのコンセプトも、考え方は同じです。色や写真をそろえるのは、そのあとで十分です。
国内でよく使われているSNSの特徴は、こちらの記事で紹介しています。どのSNSを選ぶか、何のためにSNSをやるのかは、こちらの記事にまとめました。


コンセプトは、見込み客の「痛み」から始める
痛みとは、お客さんの困りごと・悩み・不安のこと
ここで言う痛みは、体のことじゃありません。お客さんの困りごとや悩み、不安のことです。
何度でも言いますが、売れる流れを作るには、お客さんの目線で考えることが欠かせません。それができてはじめて、SNSも商売の役に立ちます。
痛みを知る方法はいくつもあります。いまのお客さんに聞く、同業のクチコミを読む、Q&Aサイトの質問を読む、といったやり方です。
調べ方は、こちらの記事で7つ紹介しています。


痛みを片づける言葉を一言にすると、そのままコンセプトになる
痛みが分かったら、その痛みを片づける言葉を、短く言い表してみます。
実は、痛みを片づける言葉を一言にしたものは、そのままコンセプトになります。
たとえば、ご主人を亡くされた奥さまがいるとします。食事のたびに思い出がよみがえり、話し相手のいないさみしさから、なかなか抜けられない。そういう痛みです。
この痛みに、業種ごとに応えるとしたら、こんな一文が考えられます。
レストランなら:話好きのウエイターがいる、お一人様も入りやすいレストラン
スーパーなら:小鉢サイズの手作り惣菜が名物の、地元密着スーパー
塗装屋さんなら:ついでに電球も替えます!?噂のお人よし塗装屋
どの一文にも、「誰の、どんな痛みに応えるのか」が入っています。この一文をプロフィールに掲げて、毎日の投稿でもその姿を見せていたら、どうでしょうか。
何度も目にするうちに、気になって仕方なくなるはずです。「あそこなら、話を聞いてもらえるかもしれない」と。
痛みは、場面まで書けると強くなる
「さみしい」の一言だけでは、まだぼんやりしています。いつ、どこで何をしているときにさみしいのか。場面まで描けると、一文に入れる言葉も迷いません。
痛みを場面で書く方法は、こちらの記事で4つの手順にまとめました。掘り下げるための質問は、こちらの記事にあります。


「空白」は、痛みを持つお客さんがいるのに、誰も応えていない所


誰もいない所が、空白ではない
コンセプトを、さらに強くする方法があります。市場の空白をねらうことです。
ここで言う空白は、ライバルが1社もいない所ではありません。その痛みを持つお客さんがいるのに、まだ誰も応えていない所です。
ライバルがまったくいない場所には、たいてい、いない理由があります。お客さんがいない。いても、お金を払うほどには困っていない。
だから、空いているように見える場所を見つけたら、喜ぶ前に、なぜ空いているのかを確かめます。この考え方は、こちらの記事でくわしく書いています。


「品質が高くて安い」マスは、空いていても続かない
空白を探すときによく使われるのが、縦と横の2本の線で、4つのマスに分けた図です。
たとえば、横の線を品質(よい・控えめ)、縦の線を値段(高い・安い)にして、同じ痛みに応えているライバルを置いていきます。
- A社:品質は控えめだが、値段を安くして選ばれている
- B社:品質も値段も、まん中あたり
- C社:品質も値段も高め
並べてみると、「品質が高くて、値段が安い」マスが空いています。ここをねらえば勝てそうに見えます。
でも、ここが空いているのにも理由があります。よいものを安く出し続けるには、お金と人手の余裕が要ります。小さな会社がここに立つと、忙しいのに手元にお金が残らない状態になりがちです。
線は、お客さんの痛みから引く
そこで僕は、線を品質と値段で引くのではなく、お客さんの痛みから引くことをおすすめしています。
さきほどの、ご主人を亡くされた奥さまの例で考えてみます。食事のお店を選ぶときに気にするのは、「ひとりで入りやすいか」と「お店の人と話せるか」かもしれません。この2つを線にして、近所のお店を置いてみます。
駅前のチェーン店:ひとりでも入りやすいが、お店の人と話すことはほとんどない
常連さんでにぎわう小料理屋:会話はあるが、初めてのひとりのお客さんには入りにくい
記念日向けのコースのお店:ふたり以上で来ることが前提になっている
空いているマス:ひとりでも入りやすく、お店の人と話せるお店
空いているマスに、さきほどの痛みを持つお客さんがいる。ここで、痛みと空白が重なります。
本当は、市場の大きさや自社の強みまで、あわせて考える必要があります。市場の大きさの考え方は、こちらの記事にまとめています。
それでも、お客さんの「痛み」×市場の「空白」で一文を決めると、誰に向けた発信なのかを、はっきり打ち出せるようになります。
ぞろ屋の「勝てるホームページ」も、痛みと空白で説明できる
ぞろ屋の打ち出しも、この形に当てはめると、こうなります。
お客さんの痛みは、「ホームページから問い合わせが来ない」「何を書けばいいのか分からない」。ホームページを作れる会社や人は、数えきれないほどいます。
ただ、見た目より先に、誰に何を届けるかから作る、と打ち出している所は、僕が始めたころは多くありませんでした。だから、ただのホームページではなく、「勝てるホームページ」です。
ホームページを作れる人がどれだけ増えても、問い合わせが来ないという痛みに応える所は、まだ足りていない。僕はそう見ています。
どこに立つかを決めること(ポジショニング)は、色やロゴを整えることとは別の仕事です。そして順番は、いつも立つ場所が先です。
この話は、ポッドキャストの第54回「ポジショニングはブランディングではない!エイプリルダンフォードに学ぶ戦略」でも話しています。
実例|「何の人か」を見直した2つの話
僕の肩書きは、「並びたくない相手」から決めた
ここからは、僕自身の話です。
以前、僕は自分の肩書きを「AI時代のホームページ戦略家」と書いていました。「ホームページ制作会社」とは書きませんでした。
理由は、お客さんがAIの検索で会社を見比べるときに、ほかの制作会社と同じ並びに入りたくなかったからです。
コンセプトを決めるときは、誰に来てほしいかと同じくらい、誰と並べられたくないかを決めることが大事です。並びたくない相手がはっきりすると、自分が立つ場所も見えてきます。
言い切るのは、少し怖いものです。でも、言い切らないかぎり、お客さんは比べることができません。比べられなければ、選んでもらうこともできないんです。
いまは、「AIに選ばれるホームページづくりの専門家」と名乗っています。
講座の受講生けんたさん|強みを、お客さんの目線で確かめ直した
もう1つは、僕の講座「AI×勝てるホームページ作成講座」を受講した、けんたさんの話です。ホームページの制作をお手伝いしたお客さんではなく、講座で学んだ方の話です。
愛知県に住む30代の事業家、けんたさんは、開業したばかりのころ、自分の強みを考えないまま、ホームページを作ろうとしていたそうです。何を前に出せばいいのかも、分からなかった。
講座のテンプレートに取り組むうちに、けんたさんは、自分の強みを確かめ直すことができた、と話しています。
もう1つの気づきは、お客さんの目線で考えることでした。お客さんから求められていることに重きを置く大切さに気づいた、と。
けんたさんの話は、ホームページの話です。でも、SNSのコンセプトでも、まったく同じことが言えます。
何が言いたいかというと、強みは、自分の中だけを探しても見つかりにくい、ということです。お客さんの痛みの側から見直したとき、はじめて強みになるんです。
ちなみに、けんたさんが講座を選んだ理由は、ココナラでの口コミや実績を見て、僕の経験を学べることに魅力を感じたから、だそうです。混み合った場所でも、何の人かが伝わっていれば、見つけてもらえる。僕にとっても、うれしい話でした。
SNSのコンセプトを決める4つの手順
ここからは、実際にあなたの会社に当てはめて考えていきます。紙とペンを用意してください。
さきほどの「お人よし塗装屋」さんが、Instagramで発信を始める場合を例に見ていきましょう。
- 手順1|見込み客の痛みを、30個書き出す
- 手順2|痛みを1つ選び、片づける言葉を一文にする
- 手順3|同業のアカウントを並べて、空白を確かめる
- 手順4|一文をプロフィールの1行目に置き、投稿を選ぶ基準にする
手順1|見込み客の痛みを、30個書き出す
箇条書きで構いません。ノートとペンを持って、30個ほど、お客さんの「痛み」「悩み」「不安」を書き出します。
頭の中だけで考えていると、途中で手が止まりがちです。いまのお客さんによく聞かれる質問、電話で言われた一言、同業の会社のクチコミに書かれている不満。そこから拾うと、数が出てきます。
塗装屋さんなら、たとえばこんな痛みです。
- 知らない業者を家に上げるのが、少し怖い
- 見積もりを頼んだら、断りにくくなりそう
- 高い所の電球が切れたままだが、頼める人がいない
- 足場を組む音で、近所に迷惑をかけないか気になる
手順2|痛みを1つ選び、片づける言葉を一文にする


30個の中から、いちばんうまく片づけられる痛みを1つ選んで、次の形にあてはめてみます。
(誰)の(どんな痛み)を、(どうやって)片づける(何屋)
たとえば塗装屋さんが「知らない業者を家に上げるのが、少し怖い」を選んだなら、「ひとり暮らしで、知らない業者を家に上げるのが不安な方が、ちょっとした困りごとまで気軽に頼める塗装屋」となります。
これをギュッと縮めたのが、「ついでに電球も替えます!?噂のお人よし塗装屋」です。
最後の「何屋」は業種名だけで終わらせず、役割まで書くのがコツです。「塗装屋」の前に「家の外まわりの困りごとを、ついでに引き受ける」とお客さんにとっての役目を足すイメージですね。
できあがったら、中学生に読んでもらうつもりで見直してみてください。かっこつけた表現や業界の言葉があったら、ふつうの言葉に直しましょう。
手順3|同業のアカウントを並べて、空白を確かめる
次は、同じ地域の同業者のアカウントをXやInstagramで10個ほど探してみます。Instagramなら「地域名 塗装」で検索すればすぐ見つかります。
それぞれのプロフィールの1行目と、最近の投稿で何を見せているかを書き写します。塗装屋さんなら、たとえばこう並ぶかもしれません。
多くのアカウントが見せているもの:塗る前と後の写真、足場代こみの値段、保証の年数
あまり見せていないもの:塗っている職人さんの顔と人柄、作業の合間に頼まれた小さな困りごと
みんなと同じことを出しても、混み合っていて埋もれてしまいます。誰も見せていないのに、手順1で書き出した痛みを持つお客さんがいる場所。そこが狙い目の空白です。
ただ、ズラしすぎてはいけません。別の業種へ移るのではなく、同じ悩みの中で、立ち位置を少し変えるだけです。
塗装屋さんが目立ちたいからと料理の投稿を始めても、依頼したい人には届きませんよね。塗装の話はそのままで、誰に何を届けるかを少しズラすのがポイントです。
手順4|一文をプロフィールの1行目に置き、投稿を選ぶ基準にする
決めた一文は、プロフィールの1行目に置きます。
1行目で大事なのは、読んだ人が、その場で「自分のことだ」「うちじゃないな」と判定できることです。判定できるように書く。これが、プロフィールの1行目の仕事です。
「うちじゃないな」と思った人が離れていくのは、怖く感じるかもしれません。でも、その人たちに向けた投稿を続けても、頼みたい人には届きません。
一文には、もう1つ大事な使い道があります。投稿する前に、その投稿がコンセプトの痛みにつながっているかを確かめる基準になることです。
塗装屋さんなら、作業の合間に頼まれて、切れた電球を替えてきた話は、コンセプトにぴったりです。一方で、流行りの話題に乗っただけの投稿は、どれだけ見られても、塗装を頼みたい人は増えません。
Xで投稿を見つけてもらうための工夫は、こちらの記事に書いています。


コンセプトづくりで、よくある2つのつまずき
対象が広すぎて、何も言っていないのと同じになる
「家のことでお困りの方へ」「地域の皆さまのために」。一見、やさしく聞こえますよね。
でも、家のことで困りごとのない人はいませんし、地域の皆さまは全員のことです。誰にでも当てはまる言葉は、誰の手も止めません。
「中小企業向け」「個人事業主向け」も同じです。あいまいな言葉では、読んだ人が「自分のことだ」と思えません。
対象は、手順1の痛みで絞りましょう。「家のことでお困りの方」ではなく、「高い所の電球が切れたまま、頼める人がいない方」。痛みが具体的だからこそ、読んだ人が「自分のことだ」と気づくんです。
かっこいい言葉を探しはじめてしまう
コンセプトを決めようとすると、かっこいい言葉を探しはじめる方が、とても多いんです。
でも、立つ場所を決める作業の中心は、言葉を飾ることではありません。もっと地味で、泥臭い作業です。
社長さんと1対1で話していると、「うちは、こういう人のために、こうやっている」という、とがった答えがよく出てきます。
それなのに、ホームページに書く段になると、なぜか「皆さまの発展に貢献します」のような言葉に変わってしまう。SNSのプロフィールでも、同じことが起きがちです。
新しい強みを作る必要はありません。すでに持っている強みを、そのまま書けばいいんです。けんたさんが講座で確かめ直したのも、もともと持っていた強みでした。
社長さんが人に話すときの言葉を、そのままメモしておいてください。手順2の一文の材料は、たいていその中にあります。
まとめ|SNSブランディングは、「痛み×空白」の一文から始まる
- SNSのブランディングは、色や写真をそろえる前に、誰の、どんな痛みを片づける会社なのかを一文で決めることから始まる
- 空白は、誰もいない所ではなく、痛みを持つお客さんがいるのに、まだ誰も応えていない所
- 決めた一文は、プロフィールの1行目に置き、毎日の投稿を選ぶ基準にする
僕自身、肩書きを決めるときには、誰と並べられたくないかから考えました。講座の受講生のけんたさんは、自分の強みを、お客さんの目線から確かめ直しました。どちらも、見直したのは見た目ではなく、言葉です。
僕がホームページの制作で出品してきたココナラは、Web制作だけで約20,000件規模の出品が並ぶ、混み合った場所です。その中で、ランキングの全国1位を200回以上いただいてきました。ライバルがどれだけ多くても、痛みと空白が重なる一文があれば、選んでもらえる余地はあります。
いちばん大事なのは、痛みを具体的にする作業です。まずは手順1だけで十分です。お客さんの痛みを、30個書き出してみてください。
本音を書いておくと、一文を決めるのは、投稿を何十本も作るより時間がかかります。書いては消して、を何度もくり返すことになります。
それでも、一文が決まると、毎日の投稿で迷う時間が減ります。何を出して、何を出さないかが、自然に決まっていくからです。
痛みを書き出すときは、お客さんが困りごとに気づいてから、頼む先を決めるまでに、どこで何を考えているのかが見えていると、言葉が出てきやすくなります。その流れを図にしてくれる「カスタマージャーニー生成AI」を、無料でお渡ししています。公式LINEに登録して「cj」と送ってください。
出典
- ぞろ屋のポッドキャスト 第54回「ポジショニングはブランディングではない!エイプリルダンフォードに学ぶ戦略」(stand.fm)https://stand.fm/episodes/69fc6dfedabc5bf137f4b618
- 講座受講生 けんたさんとの対談「勝てるホームページ作成講座を通して、強みを再発見!お客様への貢献の仕方を再定義(けんた様)」(https://youtu.be/_B8CeO04jm0)
