飲食店の集客は売り込まない|来店の前に見込み客を集める3つの方法

飲食店の集客は売り込まない 来店前の見込み客集め

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来店を目的にすると、集客は難しくなります。

最近は、食事に行くお店を、Googleマップの写真やクチコミ、Instagramの料理の投稿を見比べて決めることが多くなりましたね。

お店の側も、Instagramに料理の写真を載せ、LINE公式アカウントでお知らせを送り、グルメサイトにも情報を出す。やれることは増えたのに、思ったほどお客さんが増えない。そう感じている方も多いのではないでしょうか。

僕は、高級イタリア料理店でソムリエをしていて、店長も務めていました。いまは、ホームページの制作と集客のお手伝いをしていて、これまでに400件以上の制作・支援に関わってきました。

お店を切り盛りする側と、集客を手伝う側。その両方を見てきて思うのは、飲食店の集客でいちばん遠回りなのは、「ぜひ来てください」とお願いすることだ、ということです。

集客の目的は、来店ではなく、お店を知ってもらい、何かに参加してもらうことに置く。そうすると、まだ一度も来ていない人が、お店の見込み客になっていきます。

この記事では、飲食店の売上の考え方と、広告費をひとりあたりで見る見方を整理したうえで、売り込まずに見込み客を集める方法を、LINE公式アカウント・Instagram・Googleマップの使い方まで落として紹介します。

目次

飲食店の売上は「客数×感動の質」で考える

売上は、客数と単価とリピート率のかけ算

どんな商売も、お客さんがいなければ成り立ちません。

お客さんの集まりを、マーケットと呼びます。マーケットの大きさは、お客さんの数と、1人が使う金額である単価、それに、また来てくれる割合であるリピート率で決まります。

飲食店の売上も、同じ形で書けます。

売上=客数×単価×リピート率

よく知られた式ですね。

単価とリピート率を、まとめて「感動の質」と呼ぶ

僕はこの式を、次のように読み替えています。

売上=客数×感動の質

感動の質=単価×リピート率

料理やサービスでお客さんの期待を超えられたら、少し高くても納得して払ってもらえます。そして、また来てもらえます。

単価もリピート率も、お客さんがどれだけ心を動かされたかで決まるところが大きい。だから僕は、2つをまとめて「感動の質」と呼んでいます。

感動の質を高めることが、お店の値打ちを上げ、ほかのお店との違いになる。僕自身、ソムリエをしていたころは、お客さんの期待を大きく上回る接客、いわばサプライズを考えるのが好きでした。

感動の質は、飲食店がいちばん得意な仕事です。売上の式を、数字で見ていく話は、こちらの記事に書いています。

残るのは、客数をどう増やすか

感動の質は、お店の中で磨けます。

悩ましいのは、もう1つのかけ算である客数です。お店に来られる範囲に住んでいる人も、働いている人も、数には限りがあります。

限りのあるマーケットの中で、どうやって客数を増やすのか。ここからは、その話です。

広告費は「ひとりあたり」で見ると、使い道が変わる

「広告費はひとりあたりで見る」という見出しの図解で、オレンジの枠の「広く薄く配る」(大勢の人の上に小さなチラシが薄くまかれ、ほとんどが誰にも見られずに地面に落ちている)から、緑の枠の「ひとりのために使う」(男の子が、季節の絵のはがきをお客さんひとりに両手で手渡している)へ矢印でつながっている。下の帯に「誰にお金をかけるか、先に決める」。

同じ1,000万円のマーケットでも、戦い方はまるで違う

お客さんを集める前に、決めておくことがあります。どのマーケットに入るか、です。

たとえば、こんな2つのマーケットがあるとします。

  • マーケットA:お客さんが10万人いて、1人が使う金額は100円
  • マーケットB:お客さんが100人いて、1人が使う金額は10万円

どちらも、マーケットの大きさは1,000万円で同じです。でも、どちらに入るかで、メニューも、値段も、宣伝のやり方も、何もかも変わります。

マーケットの大きさの見積もり方や、小さなお店が勝ちやすいマーケットの選び方は、こちらの記事にまとめました。

50万円の広告費は、ひとりあたりいくらか

ここで、広告にかかるお金を考えてみます。

新聞の折り込みチラシ、ポスティング、雑誌の広告などで、50万円をかけたとします。

  • マーケットAの10万人に届けるなら、ひとりあたり5円
  • マーケットBの100人に届けるなら、ひとりあたり5,000円

10万人に届けるほうが、ひとりあたりは安く見えますよね。

でも、見方を変えると、こうも言えます。10万人には5円しかかけられないけれど、100人には5,000円かけられる。

薄く広く配った広告は、ひとりの記憶に残りにくい

25メートルプールに角砂糖を1つ落としても、泳いでいる人は誰も甘さに気づけません。

ひとりあたり5円の広告も、受け取った1人1人にとっては、それに近いものです。郵便受けに入っていた1枚のチラシは、ほかのチラシと一緒に、目に留まらないまま終わることも多いはずです。

一方で、ひとりに5,000円をかけられるなら、できることがまるで変わります。

季節ごとに手書きのはがきを送ることも、新しいメニューを誰より先に教えてあげることもできる。お金だけでなく、時間も手間も、そのひとりのためだけに使えます。

どのマーケットを選び、何を強みにするか。そこが決まれば、やり方はいくらでも出てきます。

広告の結果は、お客さんを獲得するのにかかった費用で見る

僕は、広告の結果を、出した金額の大きさではなく、お客さんを獲得するのにいくらかかったかで見ています。

飲食店ではありませんが、ホームページの制作と広告の運用をあわせてお手伝いした、あるサービス業の会社では、その費用が25%下がり、半年で赤字から黒字に変わりました。

広告費をひとりあたりで見るのは、細かいお金の話をするためではありません。誰にお金をかけるのかを、先に決めるためです。

集客の目的を「来店」に置くと、売り込みになる

「売り込まずに参加してもらう」という見出しの図解で、オレンジの枠の「来店のお願い」(お店の前で手を合わせてお願いするお店の人と、目をそらして断る通りがかりの人)と、緑の枠の「メニューの投票」(男の子が見せるスマートフォンの2つのパスタの写真から、お客さんが食べてみたいほうを指で選んでいる)を比べている。下の帯に「参加してくれた人が見込み客に」。

広告やSNSの役目は、知ってもらうこと

広告は、まだお店を知らない人に、知ってもらうためのものです。硬い言葉でいうと「認知」ですね。集客の中でも、いちばん分かりやすい方法の1つです。

知ってもらう方法は、ずいぶん増えました。LINE、Instagram、X、FacebookのようなSNSに、Googleマップ、ブログやホームページもあります。

では、そもそも何のために集客をするのか。飲食店なら「お店に来てもらうため」と答えたくなります。

でも僕は、来店を集客の目的にすると、かえって集客は難しくなると考えています。

人は、露骨な売り込みが嫌い

理由はシンプルです。人は、露骨な売り込みが嫌いだからです。

お店を経営していると、営業の電話やメールが、よく来ますよね。仕込みの手を止めて出た電話が売り込みだったときの、あの気持ちです。

実は僕は、その電話をかける側にいました。水産会社にいたころ、飲食店に魚を売る電話営業をしていたんです。「忙しいんじゃボケ!」と言われて切られる日々でした。

成績が上がったのは、買ってくださいとお願いするのをやめてからです。売り込まないやり方を取り入れて、新規の開拓でトップの成績を出せるようになりました。

何が言いたいかというと、お店から送るお知らせも、受け取る側から見れば同じだということです。「本日もご来店をお待ちしております」「今週末だけ10%オフ」。お店にとってはお知らせでも、受け取る人には、売り込みに見えることがあります。

目的は「知ってもらう+参加してもらう」

では、来店でないなら、何を目的にすればいいのか。

僕は、広告と同じ「知ってもらうこと」でいいと思っています。ただ、知ってもらうだけでは、もったいない。知ってもらったうえで、何かに参加してもらえたらどうでしょうか。

参加してもらうアイデアは、たとえばこんなものです。

  • LINE公式アカウントの友だちになってもらう
  • 来月のメニューを決める投票に参加してもらう
  • 料理や食材についての質問を送ってもらう
  • 誰でも応募できるプレゼントに応募してもらう

ここで大事なのは、来店を促す内容になっていないこと、売り込まないことです。

家で、今日の夕飯をハンバーグにするかカレーにするか、子どもに選ばせたことはありませんか。自分で選んだ日は、呼ばれる前から台所をのぞきに来たりします。

メニューの投票も、これと同じです。自分が票を入れた料理が選ばれたのか、いつ食べられるのかは、つい気になります。参加した人にとって、お店のことは、もう他人ごとではなくなります。

プレゼントの企画をするときに知っておきたいこと
  • 来店した人や、買った人に、もれなく配るプレゼントには、景品表示法で金額の上限が決まっています
  • 買った人や利用した人の中から、くじなどで選んだ人に贈るプレゼントにも、上限があります
  • 企画を広く知らせ、購入も来店も条件にせず、はがきやメールなどで誰でも申し込める抽選には、景品表示法の景品の決まりは当てはまらない、と消費者庁は説明しています
  • 上限の金額は、消費者庁の「景品規制の概要」に表でまとまっています。企画の前に一度確かめてください

参加してくれた人は、まだ来ていない「見込み客」

知ってもらって、参加してもらう。この流れができれば、まだ来店していない人でもお店の「見込み客」になります。

見込み客とは、いまはお客さんじゃなくても、これから来てくれるかもしれない人のこと。

チラシを受け取っただけの10万人と違い、自分から登録や投票をしてくれた人たちです。先ほどの広告の話でいえば、「100人」の側に入ります。

飲食店の集客方法|LINE・Instagram・Googleマップで参加してもらう

ここからは、知ってもらう+参加してもらうを、飲食店が使いやすい3つの場所に当てはめて見ていきましょう。

LINE公式アカウント|友だちになってもらうまでを、集客と考える

以前ならメールマガジンへの登録にあたるのが、いまの飲食店では、LINE公式アカウントの友だち追加だと僕は考えています。

LINE公式アカウントでは、友だち追加のためのQRコードやURL、ボタンを作れます。LINEヤフーの案内でも、QRコードを印刷して店頭に置いたり、URLをホームページに載せたりする方法が紹介されています。

置き場所の例です。

  • お店の入口やレジの横
  • テーブルの上
  • お会計のときに渡すカード
  • ホームページと、Instagramのプロフィール

友だちになってもらう理由も、売り込みにしないことが大切です。友だち追加で次回の割引、というやり方もあります。ただ、割引を目当てに登録した人には、割引のお知らせしか届かなくなりがちです。

それよりも、「季節のメニューが始まる日を、いちばんに知らせます」「次のメニューを、友だちの投票で決めます」のように、友だちになると何に参加できるのかを伝えます。

LINE公式アカウントには「リサーチ」という機能があります。選択肢から1つだけ選んでもらう形の質問を作り、メッセージとして友だちに送れます。メニューの投票は、これで始められます。

送るお知らせは、売り込みに見えないものを選びます。

売り込みに見えるお知らせ:「本日もご来店をお待ちしております!」「今週末だけ、全品10%オフ!」

参加したくなるお知らせ:「来月のパスタ、どちらにするか迷っています。食べてみたいほうを選んでください」「生産者さんから里いもが届きました。どんな料理で食べてみたいですか」

Instagram|ストーリーズのアンケートで、次のメニューを一緒に決める

Instagramのストーリーズには、「アンケート」や「質問」のスタンプがあります。見た人に、その場で答えてもらえます。

メニューの投票なら、たとえばこう進めます。

  1. 候補の料理を2つ、写真で並べる
  2. アンケートのスタンプで、どちらを食べてみたいかを聞く
  3. 結果を、次のストーリーズで発表する
  4. 選ばれた料理を出す日を知らせる

「質問」のスタンプなら、「苦手な食材はありますか」「この食材、どう食べるのが好きですか」のように、答えやすい問いを1つだけ置きます。

ここでも、アンケートの中で「来週、来られますか」とは聞きません。聞くのは、料理のことだけです。来るかどうかは、相手が決めることです。

どのSNSから始めるか、何を投稿して何を投稿しないかの決め方は、こちらの記事に書いています。

Googleマップ|行こうか迷っている人の疑問に、先に答えておく

Googleマップは、ほかの2つと少し役目が違います。近くで食事をする場所を探している人が、お店を見つけて、行くかどうかを決める場所です。

だからここでの参加は、投票よりも、疑問に答えることと、クチコミでのやりとりになります。

Googleマップにお店の情報を出すためのGoogleビジネスプロフィールでは、営業時間、写真、メニューと値段、お店の詳しい情報を伝える「属性」などを編集できます。

ここに、お客さんが入る前に気にすることを、先に書いておきます。駐車場はあるか、1人でも入りやすいか、クレジットカードは使えるか。

電話で聞くほどではないけれど、分からないと足が止まる。そういう疑問です。

店名は、店舗やホームページなどで一貫して使っている、実際の名前にしておきます。Googleのガイドラインでも、そう求められています。

クチコミには、お店の持ち主としての確認(オーナー確認)を済ませると、ビジネスプロフィールから返信できます。返信は、書いてくれた本人だけでなく、あとからクチコミを読む人の目にも入ります。

1つだけ、気をつけたいことがあります。「クチコミを書いてくれたら、ドリンク1杯サービス」のような頼み方です。割引や無料の品と引き換えにクチコミを頼むことは、Googleのポリシーで禁止されています。

見返りを付けずに、実際に来た人に感想を書いてもらうよう呼びかけることは、認められています。お願いするなら、「よかったら、感想を聞かせてください」まで。そのほうが、読む人にも信じてもらえるクチコミになります。

GoogleマップにAIが入って、お店の探され方がどう変わるかは、こちらの記事で詳しく書いています。

Googleマップへの備え方は、ポッドキャストの第47回「店舗ビジネスの人必見!Google マップのアップデートに備えよ!」でも話しています。

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