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風邪とは、戦わないことにしています。
最近、朝晩がぐっと冷えるようになりましたね。上着を1枚足すかどうか、玄関で迷う朝が増えました。
僕の言う「戦わない」は、ひいてから治すことに力を使うのではなく、ひく前に自分を整えておくことに力を使う、という意味です。
先に書いておくと、僕は医者ではありません。体のことは、この記事ではあくまで「僕の場合」の話にとどめます。
書きたいのは、体調を入口にした「先に手を打つ」という考え方です。じつはこれ、僕がホームページやマーケティングの仕事で、毎日やっていることとまったく同じなんです。
この記事では、2018年に僕が体調を崩したときの話から始めて、自分を記録する、兆しを先に決めておく、兆しが出たら小さいうちに手を打つという3つの習慣を書きます。最後に、それが集客の考え方や、僕の仕事への向き合い方とどうつながっているのかにも触れます。
2018年、1日14時間働いていた僕が体調を崩した話
2018年ごろ、僕は本業と、前の年に始めたココナラでのホームページ制作を合わせて、1日14時間ほど働いていました。
そのころから、よく体調を崩すようになったんです。
理由は、なんとなく分かっていました。働く時間の長さというより、朝と昼の食べ方です。
いちばん調子が良かったのは、朝と昼をごく軽くすませていたころでした。風邪をひいた記憶もほとんどなくて、ひきそうになっても、ひと晩寝れば治っていたくらいです。
朝のメロンパンが、いつのまにか習慣になっていた
ところが、いつのまにか朝に菓子パンを食べるのが習慣になっていました。
僕は昔からメロンパンが大好きで、1年で120個くらい食べていた時期があるくらいです。
朝に手軽なものを選んでしまうのは、レストランで働いていたころの名残だと思います。僕はイタリアンレストランで、主にソムリエとして働き、店長も務めました。
レストランの仕事は、人が食事をする時間に働く仕事です。ディナーの営業が夜の11時に終わると、家に帰って食べるのは真夜中になります。
その暮らしが体にしみついていて、朝も昼も、しっかり食べる気になれません。だから、すぐに口へ入るメロンパンに手が伸びていました。
菓子パンの朝が続くようになってから、調子が落ちていった。これはありがちな一般論ではなく、自分の毎日を振り返って気づいたことです。
1冊の本を読んで、朝のメロンパンが原因だったと確信した
ちょうどそのころ、題名に惹かれて手に取った本があります。糖尿病専門医の牧田善二さんが書いた、『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)です。
食事について、お医者さんの立場から書かれた本です。僕はこの本を読んで、毎朝メロンパンを食べていたことが、体調を崩す原因だったのだと確信しました。そのときの僕は、糖分の摂りすぎに気を付けることが、体調を整える近道だと考えました。
ただ、体のことは人によって違います。ここに書いたのは、僕が自分の暮らしを振り返って考えたことで、誰にでもすすめる話ではありません。
体調で気になることがあるときは、自分だけで判断せず、お医者さんに相談してください。
体調を崩していちばん困るのは、仕事の質が落ちること
風邪がやっかいなのは、仕事の質をはっきり下げるところです。
熱が出れば、判断が鈍ります。せきや鼻水が続くと、体力を取られ、集中が途切れがちになります。
休めば、仕事が止まります。無理をして出れば、質の落ちた仕事が残ります。どちらを選んでも、あとで取り戻すのに時間がかかります。
僕にとって、時間は命そのものです。そして健康は、その限りある時間を幸福に過ごすための乗り物だと考えています。
お金、健康、スキルと知識、人間関係。僕はこの4つを、自分の資産として日々記録しています。その中でも健康は、崩れると、ほかの3つを育てる時間までまとめて止めてしまいます。
僕は「賢い人」とは、困りごとが起きる前に、それを避けて動ける人のことだと思っています。言いかえると、先を想像できる人です。
崩してから立て直すより、崩れないように先に整えておくほうが、ずっと安くつく。これは体調でも、仕事でも同じです。
先に手を打つための3つの習慣

孫子の「軍形篇」に、こんな一節があります。
是故勝兵先勝而後求戰,敗兵先戰而後求勝。
勝つ軍は、先に勝てる形をつくってから戦いに臨む。負ける軍は、戦い始めてから勝ち方を探す。そういう意味です。
僕がいちばん影響を受けた言葉の1つです。風邪と戦わないのは、この考え方を、自分の体にそのまま当てはめたものです。
では、具体的に何をしているのか。3つの習慣に分けて書きます。
習慣1|自分の毎日を記録して、ふだんの自分を知る
1つ目の習慣は、自分の毎日を記録することです。
毎朝同じ時間に、同じ駅のホームで電車を待っていると、いつもの電車が2分遅れただけで「あれ?」と気づきます。たまにしか乗らない路線なら、遅れているのかどうかさえ分かりません。
体調も同じで、ふだんの自分を知らなければ、崩れ始めたことに気づけません。
僕がメロンパンの朝と不調のつながりに気づけたのも、自分の毎日を振り返ってみたからでした。
いまの僕は、15分ごとに何の時間だったかを記録しています。「生活」「業務」「未来への投資」「無駄」の4つに色分けしておくと、何に時間を使っているのかがあとから一目で分かります。
詳しい記録の付け方は、こちらの記事に書いています。

習慣2|自分の「兆し」を、先に言葉にしておく
2つ目は、崩れる前のサインを、先に決めておくことです。
孫子の「行軍篇」に、「鳥起者,伏也」という一節があります。鳥が飛び立つのは兵が隠れている証拠だ、という意味です。
大きな出来事の前には、たいてい小さな兆しがあります。そこで気づけるかどうかで、打てる手も変わってきます。
僕の風邪なら、のどのかすかな痛みや、くしゃみのあとに胸に残る、押されるような感じが兆しです。
これを「自分の兆し」として言葉にしておくと、見逃しにくくなります。「なんとなく調子が悪い」のままだと、気のせいにして先送りしてしまうからです。
兆しは、気づいてから探すのではなく、先に決めておく。ここが大事なところです。
習慣3|兆しが出たら、小さいうちに手を打つ
3つ目は、兆しが出たら、すぐに小さく手を打つことです。
パスタをゆでる大きな鍋は、ふたがカタカタ鳴り始めたところで火を弱めれば、ひと手間で済みます。吹きこぼれてしまうと、コンロのまわりを拭いて、減ったゆで湯を足して、またお湯が沸くのを待つことになります。
僕も兆しが出たら、ひどくならないうちに、その日のうちに手を打ちます。まだ小さいうちなら、打つ手も小さくて済むからです。
勢いがついてしまうと、もう手の打ちようがありません。ひたすら我慢して、過ぎるのを待つだけの籠城戦です。籠城戦は時間がかかるうえに、そのあいだは思うように力を出せません。
レストランで店長をしていたころ、オーナーから教わったのが、常に3手先を考えて動く仕事のしかたでした。
お皿を下げに行ったら、同時に別のテーブルのワインを注ぎ、隣のテーブルの注文を受けてスタッフに渡す。頭の中では、あのテーブルは次にパスタが出る、こちらはデザートだから、パスタができあがるまでに皿を下げてフォークとスプーンを並べておこう、と段取りを組んでおく。
先を読んで小さく動いておけば、忙しい時間でも慌てずに済みます。体調も、同じ考え方で見ています。
メロンパンの定点観測は、競合を見続けるのと同じ
ここからは、体調の話を少し離れて、マーケティングの話をします。
1年で120個もメロンパンを食べていると、ちょっとした発見がありました。コンビニの動きは、メロンパンを見ているとよく分かるんです。
あるコンビニがメロンパンを新しくすると、追いかけるように、もう1社が新しくする。さらにそれを追って、もう1社が続く。
名前の付け方も、たとえばこんな具合です。1社が「バターが香るメロンパン」と打ち出すと、次の会社は「ブルターニュ産バターを使ったメロンパン」、その次の会社は「ざっくりメロンパン」。
メロンパンだけを見ていても、各社の追いかけ方が見えてくる。面白いですよね。
何が言いたいかというと、1つのものを、同じ目で、くり返し見続けると、相手の動き方のくせが見えてくるということです。これを定点観測(同じものを、同じ場所から、決まった間隔で見続けること)といいます。
ホームページの仕事でも、競合は「1回見て終わり」にしない
ホームページを作るとき、僕は必ず競合を調べます。お客さんが迷った末に何で選ぶのか、他社と並べて比べないと見えてこないからです。
たとえばエアコン掃除なら、自社は10の工程をやっているのに、他社は9つしかやっていないということがあります。同じサービスに見えても、工程まで並べれば差は必ず見つかります。
ただ、競合は1回調べたら終わり、ではありません。相手も動いているからです。料金を変える、最初の画面の言葉を変える、お客様の声を増やす。そうした動きは、続けて見ていないと気づけません。
僕なら、見る項目とチェックする日を先に決めておきます。
- 料金と、メニューの並び
- ホームページを開いて、最初に見える画面の言葉
- お客様の声や事例の数
- ブログやお知らせが更新される間隔
- Googleビジネスプロフィールのクチコミの数と、書かれている中身
毎月決まった日に、同じ項目を見る。メロンパンの棚を見ていたときと同じで、続けるほど相手の次の一手が読めるようになります。
競合の調べ方そのものは、こちらの記事にまとめました。

売上が落ちる前の、小さな兆しに気づく

孫子の鳥の話は、集客にもそのまま当てはまります。
売上が大きく落ちる前には、たいてい小さな兆しがあります。たとえば、こんな変化です。
- 問い合わせの中身が変わる(同じ質問が何度も続く、値段ばかり聞かれるようになる)
- Googleサーチコンソール(Googleが無料で出している、検索での見られ方を確かめるツール)で、表示回数やクリックがじわじわ減り始める
- 競合のホームページで、料金や最初の画面の言葉が変わる
- Googleビジネスプロフィールのクチコミの書かれ方が変わる
- 紹介やリピートの間が、前より空くようになる
どれも1つだけなら、気のせいですませたくなる小さな変化です。でも、兆しのうちなら、打つ手は小さくて済みます。
最初の画面の言葉を1行直す。よくある質問を1つ足す。料金の見せ方を変える。兆しの段階なら、こうした手直しから始められます。
反対に、落ち込みが大きくなってからでは、作り直しや広告に頼らざるを得なくなりがちです。体調でいえば、籠城戦です。
先回りは、お客さんへの誠実さでもある
先に手を打つのは、自分の体や売上を守るためだけではありません。
僕は、信頼とは、相手の疑問や不安を先回りして解決してあげることだと考えています。
問い合わせで同じ質問が続くなら、それは、お客さんがホームページで答えを見つけられていない、という兆しです。その答えを先にホームページに書いておけば、次のお客さんは迷わずに済みます。
兆しに気づいて先に動くことは、お客さんの不安を先回りして減らすことでもあるんです。
地味な先回りを、仕組みにして続ける
ここまで読んで、なんだ、当たり前のことばかりだ、と思われたかもしれません。
その通りです。記録する。兆しを決めておく。小さいうちに手を打つ。どれも地味で、当たり前で、だからこそ、続ける人が少ないことです。
僕の勝ち方は、昔からこれでした。誰もが面倒がってやりたがらない、当たり前で地味なことを、誰よりもやりきる。
続けるコツは、気合いに頼らないことです。僕はマーケティングを、意志や頑張りではなく、仕組みで問題を解決する考え方だと思っています。
体調なら、記録をつける時間と、自分の兆しのリストを決めておく。ホームページなら、毎月見る日と、見る項目を決めておく。決めてしまえば、あとは淡々と続けるだけです。
体を整えるのは、お客さんと向き合う時間を守るため
もう1つ、僕が体調を気にかける理由があります。
ぞろ屋では、AIで動かせるところは、どんどんAIに任せています。でも、クライアントさんと会って話を聞く時間と、対談動画を撮りに現場まで行く時間だけは、効率化しないと決めています。
ところが、自分に余裕がなくなると、そうした時間までもったいないと感じてしまう瞬間が来ます。
だから、日々の運動、睡眠、食事で、自分の余裕を整えておく。これが、ぞろ屋の仕事を長く続けるための、いちばんの前提だと思っています。
風邪をひかないように整えるのは、自分のためでもあり、お客さんと向き合う時間を守るためでもあるんです。
まとめ|風邪とも、売上の落ち込みとも、戦う前に手を打つ
- 体調を崩していちばん困るのは、仕事の質が落ちること。崩してから立て直すより、先に整えるほうがずっと安くつく
- 先に手を打つ3つの習慣は、自分の毎日を記録する、自分の兆しを先に言葉にしておく、兆しが出たら小さいうちに手を打つ
- 競合のホームページも、見る項目と日を決めて見続ける。売上が落ちる前の小さな兆しに気づければ、打つ手は小さくて済む
僕はこれまで、数千サイトのリサーチ・分析をしてきました。400件以上のホームページの制作・支援も、その上に積み上がっています。
やっていることの根っこは、メロンパンの棚を見続けていたころと変わりません。気になるものを、同じ目で、見続けることです。
今日やることは1つです。自分の「兆し」を3つ、紙に書き出してみてください。体のことでも、売上のことでもかまいません。
もちろん、書き出すだけで何かが変わるわけではありません。兆しが出たときに、面倒でも手を動かせるかどうか。そこだけは、誰にも代わってもらえないところです。
もしものときへの備えを、もっと広く考えたいときは、こちらの記事も参考にしてください。

出典
- ダイヤモンド社「医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68」(書名・著者・出版社・発行年月)https://www.diamond.co.jp/book/9784478102213.html (2026年10月19日に確認)
- Wikisource「孫子兵法」(軍形第四・行軍第九の原文)https://zh.wikisource.org/wiki/%E5%AD%AB%E5%AD%90%E5%85%B5%E6%B3%95 (2026年10月19日に確認)
